河北春秋(8/22):4度目の大舞台は種目を転向して挑む。東京…

 4度目の大舞台は種目を転向して挑む。東京パラリンピックにトライアスロン女子代表で出場する気仙沼市出身の谷(旧姓佐藤)真海選手(39)。コロナ下の大会だが、いくつもの壁を越えてきたアスリートに迷いはない▼やんちゃだった幼少期は「まみスケ」と呼ばれ、よく男の子と間違われたという。中学時代は陸上部に所属し、気仙沼湾を見下ろす安波山を毎朝駆け上って足腰を鍛えた▼骨肉腫と宣告され、右膝から下を切断したのは大学時代。手術後の入浴で初めて自分の姿を鏡で見た。抗がん剤治療で髪は抜け、片足もない。涙があふれて止まらなかった▼絶望からの挑戦が始まった。義足を付けてフィールドに立ち、手術から2年後の2004年アテネパラリンピックから3大会連続で陸上走り幅跳び代表に。11年には東日本大震災が古里を襲った。神様は乗り越えられない試練は与えない-。悲しみに沈むたび、母に教わった言葉をかみしめた▼「大切なのは持っているものであって、失ったものではないと学びました」。国際オリンピック委員会(IOC)総会での演説は困難と闘う全ての人々に送るメッセージでもあった。24日の開会式では日本選手団旗手を務める。夢を追い安波山を走った少女の頃と変わらぬ笑顔がきっと見られる。(2021・8・22)

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