政治改革、制度に矮小化 元新党改革代表・元内閣官房参与 荒井広幸氏<小選挙区制25年>

[あらい・ひろゆき]福島県船引町(現田村市)出身。早大卒。県議を経て、1993年の衆院選旧福島2区で初当選し3期、2004年から参院議員2期。05年の郵政民営化法案に反対し、自民党から除名処分を受けた。新党日本と改革クラブの幹事長、新党改革代表を歴任。16年に政界引退。17年9月、自民に復党。同年11月安倍内閣の内閣官房参与に起用され、20年9月まで務めた。都内在住。63歳。

 金権政治の打破を目的とし、政権交代可能な二大政党制を見据え、導入から25年が経過した小選挙区比例代表並立制が生み出したものは何だったのか。中選挙区時代から東北の地盤などで衆院選を戦った5氏に、小選挙区の功罪と現在の政治状況に対する受け止めなどを聞いた。

 -福島県議選、衆院選の中選挙区と小選挙区、参院選を戦った経験を踏まえ、小選挙区の功罪とは。
政権交代期待
 「中選挙区では自民党の派閥による同士打ちに金がかかった。1人区にして党を前面に出した政治になれば、自民長期政権の構造的な問題が解決できるし、政権交代をもたらすのではないかとすごく期待した」

 「政治そのものの大きな仕組みを変革する問題だったのに、解決の糸口が選挙制度だけに偏った。改革をしているつもりが、だんだん制度の問題に矮小(わいしょう)化してしまった。導入論者だった一人として反省している」

 -目指した二大政党制にはなっていない。

 「政党の一騎打ちになれば政権交代しやすくなり、自然と金の問題を引きずる党は政権が取れなくなる。国民と一緒に世の中の問題を解決する適切な政策や実行力がなければ、そもそも選んでもらえない」

 「実際に目的とした政権交代は起きた。ただ、当時の民主党はどうだったのか。政権を担い続けられるのかということになった。その後は我慢できずに党名を変えたり、離合集散を繰り返したり。これでは政権交代は起こせない。どっしり構えて政策を磨くべきだ」

 -現在の政治状況をどのように見ているか。

 「小選挙区では政党助成金を党が配るため、党の代表や幹事長に権限が集中しがちだ。機嫌を損ねると公認やポストがもらえないかもしれないと、意見が違っても反対しにくくなる。それが1強と言われる安倍晋三政権のような形に表れる」

 「物が言いにくくなると議員同士の切磋琢磨(せっさたくま)がなくなり、政党と政治家は劣化する。菅義偉首相をはじめ、中選挙区を経験していない人が今の主流だ。政策で意見をぶつけ合う経験をしていない。公認をもらえば党首の顔で勝てるから、人が育たない。『○○チルドレン』がいい例だ」

 -人口減少に伴い、次々回の衆院選から東北の選挙区や比例の定数がさらに減る可能性がある。
比例の改善を
 「地方をもっと大切にしてほしいので不満はあるし、人口だけで割って良いのかという問題はある」

 「小選挙区の導入時に比例を入れた。選挙区が減り、東北各県を代弁する人が少なくなるというのならば、選挙区と重複立候補ではなく、比例には東北にふさわしい人を立てればいい。今は選挙区で落ちた候補者の救済に使われてしまっている。改善すべきだ」

 -現状の選挙制度が東日本大震災からの復興に与える影響や、今後の見直し作業などをどう考えるか。

 「小選挙区では党ごとに違いを見せることで有権者から票をもらっている。他党が良くやっている部分を評価せず、無理やり差別化しようとしている。震災復興は全員が同じ方向を向いているはず。批判合戦ではなく解決策を競うべきだ」

 「新型コロナウイルス対策など目の前に大きな課題があり、選挙制度改革をしている時ではない。現在の制度を生かし、どう改善するかを考えてほしい」

 (聞き手は福島総局・岩崎かおり)

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