自宅の庭に竪穴住居を建て、土偶のゆるキャラに変身する。青森県平川市のコラムニスト山田スイッチさん=本名・葛西聡子=さん(45)は、縄文文化をこよなく愛し、体現する異色の縄文マニアだ。「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産に登録されたのを機に、一風変わった活動の背景をのぞいた。
(青森総局・荘司結有)
8月中旬、自宅に足を運ぶと早速「縄文」を見つけた。
ナッツや枝豆などが入った火炎土器のレプリカが何げなく置かれている。「お客さんが来たら土器でお菓子を出すって決めてるんですよ」。家族との食卓ではサラダを盛り付けているらしい。
「縄文のじょの字も知らなかった」。青森で育ちながらも、元々縄文に深い興味があったわけではない。
15年ほど前、青森市の小牧野遺跡を訪ね、環状列石(ストーンサークル)の神秘に溺れた。以来、小牧野が「推し遺跡」だという。
縄文愛が高じ、07年に作家・田口ランディさんと「縄文友の会」を結成した。入会条件は、縄文遺跡を愛する心のみ。副会長に就いたスイッチさんは、自家用竪穴住居の建設を「公約」に掲げ、会員らと2カ月がかりで造り上げた。
直径3メートルの穴に杉の丸太を突っ込み、杉の皮付き板を400枚使って屋根をふいた。材料はほぼ無償で調達し、建設費用は3000円程度と超格安物件だ。普段はソロキャンプに使っているという。
「縄文の存在が大きすぎて、どうしたらよいのか分からない」
会発足から数年間、環状列石を囲んでおにぎりを食べる「小牧野遺跡」などユニークな企画に奔走し、縄文ファンを増やしてきた。そんな折、「集客イベントが遺跡の環境保護に影響を与えないか」とふと、不安にかられた。
集客か保護か―。遺跡を愛しているからこその命題に感情が揺れた時、同志の田口さんから意外な言葉を投げられた。
「スイッチさんはね、縄文をやるべきよ」
ふに落ちた感覚があったという。13年にはゆるキャラ「ドグ子」を生み出し、自らが土偶と化した。
遮光器土偶の頭に、セーラー服というシュールないでたちが人気を呼んだ。ドグ子が遺跡を巡る様子を紹介する自身のブログは1400人もの読者を抱える。縄文を体現することで、集客とは違う新たな発信の形を見つけた。
震災支援にも、縄文の感性を取り入れてきた。
「環状列石は土地のエネルギーを高め、災害から守るために縄文人が造ったのではないか」
東日本大震災後に青森県外ケ浜町の大平山元遺跡近くで、地域住民らと共にストーンサークルを造った。津波や原発事故で傷ついた被災地への祈りを込め、石を一つ一つ置いていった。
ちなみに、2018年の西日本豪雨時には自身が書き上げたボーイズラブ(BL)小説「縄文人のオレが弥生人のアイツに土器土器するなんて」の購読料を義援金として被災地に送っている。
自宅では竪穴住居の周りで野菜や薬草を育て、日々の食事に取り入れる。狩猟や採集で食料を調達し、自給自足で暮らした縄文の営みをささやかにまねているからこそ、自然と触れ合う心地よさを体感している。
「パソコンとか画面越しの交流が多い現代だからこそ、自然と向き合う縄文的な生き方が求められているんじゃないのかな」。遺跡に足を運んで縄文の空気感を味わい、「野生」を取り戻してほしいという。
縄文人が残した遺跡からエネルギーを受け取り、自らがさまざまな形で縄文を体現する―。スイッチさんはこれからも縄文マニアの「面白枠」として、ブームをさらに沸かせていく。
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