高齢者9人犠牲の岩手「楽ん楽ん」跡地で献花 台風10号豪雨から5年

 岩手県に大きな被害をもたらした2016年の台風10号豪雨災害から30日で5年となった。関連死を含めた県内の犠牲者29人のうち26人が亡くなった岩泉町では、高齢者施設跡地での追悼や小学校での防災授業が行われた。

 入所者9人全員が犠牲になった高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」の跡地には、施設を運営していた社団医療法人「緑川(りょくせん)会」が献花台を設けた。隣接地で同法人が運営する介護老人保健施設「ふれんどりー岩泉」の職員らが勤務の合間に手を合わせた。

楽ん楽ん跡地に設けた献花台で手を合わせる参列者=30日午前9時5分ごろ

 職員一斉の黙とうは新型コロナウイルスの影響で昨年に続き取りやめた。ふれんどりー岩泉の三上昇勝(のりかつ)総務部長は「申し訳ない気持ちは変わらない。教訓を語り継ぎ、犠牲者を出さないよう防災に努めたい」と語った。献花台は来年以降も設置するという。

 同町では土砂災害が120カ所で発生し、道路を寸断。多くの地区が孤立した。教訓の風化を防ぐため毎年「8・30集会」を開いている釜津田小(児童7人)は、佐々木重光町危機管理監を招き、避難訓練と防災授業を行った。

 佐々木氏は学校周辺の地形と危険箇所を説明。「災害は必ず起きるが、適切な避難で命は守れる。幾世代もつないできた命のバトンを君たちの世代で落とさないでほしい」と呼び掛けた。

 台風10号は16年8月30日午後6時ごろ、大船渡市付近に上陸した。台風が東北地方の太平洋岸に直接上陸するのは1951年の統計開始以来初めてだった。岩泉町の1時間降水量は過去最大の70・5ミリに達し、住宅985棟が被災した。

 中居健一町長は「復興の姿は見えてきたが、被災者はそれぞれ悩みを抱えている。一人の命もなくさないように防災・減災の取り組みを地域全体で継続していく」と取材に答えた。

 町の犠牲者は今年、関連死の認定で1人増えた。

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