社説(8/31):IPCC温暖化報告書/対策強化へ 警告生かそう

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が新たな報告書を発表し、産業革命前と比べた世界の平均気温の上昇幅が2040年までに1・5度を超える可能性が高いと指摘した。

 上昇幅が1・5度に達する時期について、IPCCは18年の特別報告書で32~52年の可能性が高いとしていた。

 「評価方法が異なり、単純比較はできない」という留保付きだが、残された時間がますます短くなっているのは確かだろう。温室効果ガスの排出を大幅に抑え、持続可能な社会経済活動への転換を加速させなければならない。

 日本など各国は15年に採択した「パリ協定」に基づき、気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指している。

 近年多発する豪雨や熱波などの「極端な気象現象」は、1・5度の上昇に抑えても激しくはなるものの、2度以上になれば、その頻度と規模は格段に増し、地球に破局的なダメージを与えると考えられるからだ。

 世界の平均気温は現在、既に産業革命前の水準より1度上昇している。二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの今後の排出量を5段階に分けた予測では、いずれのケースでも今後20年間の上昇幅が0・5度以上に達し、1・5度の目標達成は困難な状況だという。

 報告書は、こうした温暖化の原因が人間活動にあることは科学的に「疑う余地がない」と断言。50年に1度という熱波の発生頻度は既に産業革命前の4・8倍になっており、1・5度の気温上昇では8・6倍、2度の上昇で13・9倍に高まると推定した。

 10年に1度の豪雨が発生する頻度も、それぞれ1・5倍と1・7倍に増加。日本については今後、台風の中でも勢力の強い台風の割合が増え、しかも接近したところで勢力のピークを迎える傾向が強まることも指摘された。

 今回の報告書は、温室効果ガスが気温上昇にどれだけ影響するかを示す指標の精度が高まり、これまで以上に明確な推定になったのが特徴だ。

 「気候感度」と呼ばれる指標で、大気中のCO2濃度が倍増した時に地表気温が地球全体で最終的に上昇する温度を指す。これまで可能性の高い幅を1・5~4・5度としていたが、今回は2・5~4度とし、最良の推定値を3度と明示しているためだ。

 IPCCは195の国と地域を代表する科学者らが参加する専門家集団。これまでも温暖化に関するルール作りや国際交渉に当たって科学的根拠を示す役割を担ってきた。

 報告書が10月末から英グラスゴーで開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の議論に影響を与えるのは必至だ。科学者の警告に真摯(しんし)に向き合い、対策強化に向けた国際社会の合意形成を促したい。

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