放牧牛の脱走やけがをリモート監視 秋田でICT活用実証事業

GPS搭載の首輪を取り付けられる放牧牛

 情報通信技術(ICT)を使って放牧された牛を管理する秋田県の実証事業が8月31日、鹿角市で始まった。牛の位置情報のほか、けがや病気の兆候をリモートで監視できるようにし、管理業務の省力化を図る一方、放牧場利用の促進にもつなげたい考えだ。

 実証が始まったのは同市十和田大湯にある市所有の放牧地「川島牧野」。177ヘクタールの敷地に市内などの飼育農家22戸から預かった黒毛和種と短角種の計96頭が5~10月、放牧されている。

 31日は放牧牛のうち、20頭に首輪型の衛星利用測位システム(GPS)が取り付けられた。敷地内には中継基地が3カ所設けられ、現在の牛の位置情報がスマートフォンやパソコンで確認できる。

従来は徒歩で1日2回の見回り

 川島牧野では県畜産農業協同組合の職員1人が管理を担っている。これまでは徒歩で1日2回見回りし、けがや病気で動けなくなったり脱走したりしていないかを目視で確認していた。

 担当の湯瀬英克さん(72)は「草地を車で踏み固めるわけにはいかず、監視には1、2時間歩き回ることもざら。システムが活用できれば負担はだいぶ軽くなる」と期待した。

 飼育農家の負担軽減のため、雪の降らない5~10月に市などが所有する牧場で行われる放牧だが、放牧地の管理担当者の高齢化と人手不足が進み、県内では1人で複数の牧草地を管理している例もあるという。

 県畜産振興課の田中宜久(よしひさ)副主幹は「これまで放牧管理には経験が必要とされていたが、新たなシステムでは若い人もやりやすくなる。後継者が入ってくれば放牧を利用する農家も増えてくる」と語った。

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