住宅再建 2割が市外 気仙沼、東松島の被災者 都市部への流出加速

被災地では、地盤のかさ上げなどの宅地整備が長期化した=2016年1月、気仙沼市鹿折地区

 今年4月に締め切った東日本大震災の被災者生活再建支援金(加算支援金)で、宮城県気仙沼、東松島両市から市外に住宅再建を申請した世帯が2割弱に上ることが、両市のまとめで分かった。ともに市外再建先は仙台市が最多。被災後に都市部の「みなし仮設住宅」に入居したことや復興の長期化が背景にある。震災が大都市への人口流出を加速させたことが浮き彫りになった。

移転先、仙台が最多

 加算支援金の申請世帯は気仙沼市が5161件で、内訳は市内4207(81・5%)、市外951(18・4%)、不明3(0・1%)。東松島市は7800件で、市内6438(82・5%)、市外1356(17・4%)、不明6(0・1%)。

 市外再建先の主な市町村別の件数と割合は円グラフの通り。気仙沼市は一関市や登米市、東松島市は石巻市や宮城県松島町など近隣市町が上位だが、ともに仙台市が2、3割近くを占めて最も多かった。

 気仙沼市で被災した浜口正弘さん(68)は、仙台市泉区の住宅地の中古物件を購入した。「気仙沼は職人不足で建築に時間がかかると言われた。子どもたちも地元におらず、都会の方が将来、家を処分しやすい」と語る。

 浜口さんは仙台圏に移った被災者らでつくる同郷サロン「気仙沼はまらいんや会」の会長を務める。子どもや親類が住む仙台に避難し、そのまま家を再建した仲間が多いという。

 震災は民間賃貸を仮設住宅として扱う「みなし仮設」が初めて本格的に活用され、宮城県ではプレハブ仮設の建設戸数を上回った。

 気仙沼市の菅原茂市長は「医療機関、買い物など便利さを感じると仙台から離れられない。みなし仮設が人口流出を後押しした」と分析する。仙台で復興説明会を重ねても、出席者が次第に下を向くようになった。「帰らないと決めた市民が増えていくのを肌で感じた。復興のスピードを速めようにも、基盤整備は簡単ではなかった」と話す。

 東松島市にとって仙台は通勤通学圏内。被災したJR仙石線が全線復旧したのは、震災から4年が過ぎた2015年5月だった。

 渥美巌市長は「代行バスは時間がかかる。被災者が仙台近郊やJR東北線沿線に流れたのはやむを得ない」と語り、「人口をどう維持していくかは自治体間の競争だ」と移住定住の促進に活路を求める。

 被災者生活再建支援金は市町村が申請を受け付け、国と都道府県が拠出した基金から支給する。再建先を集計すれば大規模災害時の人口移動の傾向をつかむことができるが、把握する被災市町は一部にとどまる。

[被災者生活再建支援金(加算支援金)]住宅が全壊や大規模半壊した世帯を対象に、再建手法(建設・購入、補修、賃貸)に応じて最大200万円を支給する。災害公営住宅入居世帯は対象外だが、退去すると支給対象になる。このほか、被害程度に応じて最大100万円支払われる基礎支援金がある。宮城県によると、東日本大震災の支給実績は加算金が9万9881件、計約1198億円(8月末現在)。基礎金は13万2180件、計約991億円。

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