爽やかな秋風が吹いてきた。学生街を歩いていたら、ある看板が目に留まった。「自然卵のクレープ五橋店」(仙台市青葉区)。あれっ、こんなお店あったっけ、これがお店の名前? 自然卵なんだ!と気になりだしたら、もう行くしかないでしょとばかりに、いやすこはお店訪問に。
迎えてくれたのは代表の大沼あかねさん(45)で、早速、疑問を解決してくれた。ここにお店を出したのが昨年の11月。自然卵のクレープは店名で、材料にはご主人が自然養鶏で育てている卵を利用している、ということだ。養鶏場は宮城県南三陸町の田束山(たつがねさん)にあり、平飼いで育てられている。「鶏のごはんは県産の米や小麦、南三陸産の野菜や海藻、それとカキの貝殻などを自家配合しているんですよ」と大沼さん。太陽と三陸の海風のもとで伸び伸び育てているので、感染症にもかからないし、薬もいらない。「密じゃないし、免疫力も高いんだ」と2人は感心することしきり。
ここまでお話を聞いてきて、自然卵を生かすためのクレープ屋さんかと思いきや、何と、クレープの方が先だったという。聞いてみないと分からない。南三陸町で嫁いだ先が、釣り具屋を経営しながら、おじいちゃんが取ってくるシラウオを、おばあちゃんが天ぷらにして朝市で売る、そんな商売っ気のある家だったそう。「何かやってみたらと誘われて、それだったら子どもが喜ぶことをと、クレープの移動販売を始めたんです」。それが2004年のことで、10年秋には自動販売機も導入するほど好調だったが、その半年後、東日本大震災で自販機は流され、移動車も廃車になってしまう。「大変でしたが、その前は忙しさで夜も眠れないほどだったんです。移動車から解放されました」と話す。そこからご主人も脱サラし、一緒に北海道へ行って自然養鶏を学び、クレープ店を再開させる。
宮城に戻ってきたのは、おしゅうとめさんがうつ病から認知症を発症したため。北海道の店を譲って戻った南三陸町で養鶏場を持ち、今では自然卵のクレープの店は北海道も合わせて10店舗あるそう。オリジナル粉(あかねブレンド)を購入してもらうことを条件に、フランチャイズ展開しているのだ。
カウンター内では、若いスタッフの皆さんが手際よくクレープを作っている。それを近くで見せてもらった。「巻き方が特徴で、クレープの重なりの間にクリームの層ができるようにしています」。それと、もう一つ、生地の中の卵の割合が高いため、クレープの表面に網状のこげ目がつくそうで、「これがおいしい印なんですよ」と、大沼さんの優しい目がほほ笑む。
30種類以上あるメニューの中から2種類を注文し、半分こだ。ともかく大きい。ひと口食べると、香ばしさの中にクレープのもちもちっとした食感、たっぷりのクリームも甘すぎず、いい感じ。このもっちり感は白身の弾力からくるそうで、弾力が弱い時は「鶏を運動させて」とご主人に話すという。
元気な鶏たちの卵を使ったクレープはボリューム満点で、南三陸の海と山を思い描いていただけば、ますますおいしく、心も伸び伸びしてくる。
クレープの誕生はフランスのブルターニュ地方とされ、そば粉を材料として作られたガレットに始まる。小麦粉は貴重品だったため、祭りや特別な日に限って用いられ、それがクレープと呼ばれた。焼いた表面に縮れたしわ模様がつくためで、クレープ柄(織物の縮緬(ちりめん)のような、の意)からの命名である。そば粉のガレットが野菜や卵などと合わせる食事であるのに対し、小麦粉のクレープはバターや砂糖などをかけたお菓子。
ブルターニュ公国が1532年にフランスに併合されたことで、ガレット・クレープはフランス全土に広がった。19世紀に鉄道が開通すると、パリのモンパルナス駅周辺にクレープを売る店が並んだ。
日本でのクレープは、クレープ生地にフルーツや生クリームなどを包んだ独自のメニューとして、1977年に東京・原宿で誕生し、若者を中心に人気を得て、全国に波及した。大沼さんの店には、南三陸町の自然卵農園で作られる卵「卵皇(らおう)」を材料とした「卵皇のプリン」などもある。
土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。
土地にはその土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター・みうらうみさんとイラストレーター・本郷けい子さんが仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。
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