困窮する若者のスキル獲得後押し 仙台のNPO、農業・ITの就労機会提供

談笑する(左から)今野事務局長と起業した伊深さん、遠藤さんら=仙台市若林区

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う解雇や雇い止め、勤務シフトの減少で困窮する若者が増えている。仙台市宮城野区の認定NPO法人「Switch(スイッチ)」は、宮城など東北6県で求人が見込める農業・IT分野の就労機会を提供し、地域課題解決の担い手を育成する事業を展開している。
 風情ある日本家屋。グラスの上からお茶が注がれ、鮮やかな緑が画面いっぱいに広がる。矢部園茶舗(塩釜市)の製品「茶摘み」のPR動画を制作した遠藤博元さん(28)=二本松市=と伊深耕一郎さん(39)=仙台市太白区=は、4月からスイッチの事業「キャッシュフォーワークみやぎ」に参加している。
 事業では、コロナの影響で収入が減った10代後半~40歳未満をスイッチが約6カ月間にわたり雇用。若者たちは時給制で週28時間、農業・IT分野の受け入れ企業の仕事や実習に取り組む。
 2人は結婚式の写真、動画撮影や編集を請け負う会社で働いていたが、コロナで仕事が激減。「独立し、映像制作のスキルで地域のために働きたい」との思いから参加を決めた。企業の案件に取り組むほか、起業に必要な経営戦略、経理や営業活動を学んだ。
 7月には仙台市内で映像制作会社を設立。伊深さんは「まだ道半ばだが、とても助けられた」と話した。
 東北では東日本大震災以降の農業生産法人の拡大、販売農家数の減少で担い手が求められているほか、コロナ下のリモートワークや会員制交流サイト(SNS)の普及でIT人材のニーズが高まる。
 スイッチの事務局長今野純太郎さん(51)は「農業やITに関心があってもノウハウのない若者が、スキルを獲得し次のキャリアに生かす機会をつくれた」と手応えを感じる。事業が始まった昨年10月以降で13人が参加し、農業分野に参加した3人が卒業。就職、起業、フリーランスといった一人一人の目標や習熟度に応じた支援を行う。
 今野さんは「就労を通して自己肯定感や前へ踏み出す意欲を高めることも目的の一つ。未経験でもためらわず応募してほしい」と呼び掛ける。

[キャッシュフォーワークみやぎ]キャッシュフォーワークは、災害などで仕事を失った人を臨時で雇い、復興と生活基盤回復の両立を目指す手法。金融機関で10年以上取引のない休眠預金を元手にした一般財団法人リープ共創基金(東京)の助成事業「キャッシュフォーワーク2020」に採択された(13団体で総額約1億7000万円)。受け入れ企業、法人は参加者の賃金を負担せず、スイッチが助成金で支払う。参加希望者は9~10月ごろまで、受け入れ企業は12月末まで募集する。1月末の事業終了後も受け入れ企業の業種拡大を視野に若者の支援を続ける方針。連絡先はスイッチ022(762)5851。

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