山形の高校野球、審判業務で混乱 高野連方式に野球連盟反発

 山形県高校野球連盟が主催する秋季東北地区高校野球県大会の審判業務を巡り、県野球連盟が傘下の全5地区連盟に対し大会に協力しないよう指示していることが15日、分かった。県高野連が県野球連盟に業務を委嘱するのをやめ、自前の個人登録制に切り替えたことに反発した。高校野球で審判員をしたい県野球連盟所属の審判らに「個人登録をすれば除名の恐れがある」と困惑が広がっている。

審判を個人登録制に切り替える山形県高野連の通知(右)や審判の登録届

18日から県大会 登録した天童市の40人と教員で対応か 

 8月末に始まった地区予選は、県高野連に登録した天童市野球連盟所属の審判ら約40人で対応する事態になった。ある会場では1日3試合全てで同じ審判2人が球審などを担い、塁審に高校野球部の教員らが入った。18日に開幕する県大会も同様の対応が迫られる。

 県大会の審判業務は100人程度で編成するのが一般的。県高野連はこれまで県野球連盟に委嘱していたが、今回の大会から県高野連に個人登録した審判を自ら編成する方式に改めた。

 これに対して県野球連盟は8月上旬、登録について「静観する」よう各地区連盟に文書などで指示した。

 県野球連盟の長岡信広理事長は「長年の協力関係があったのに一方的に変更された。審判組織を一本化する全国的な流れにも反している」と県高野連を批判。県高野連に登録した審判を除名するかどうかについては「今のところ未定」と言う。

 県高野連の個人登録に応じた天童市野球連盟は、県野球連盟傘下の山形地区野球連盟から脱退し現在は非加盟。関係者によると、加盟する地区連盟の一部も所属審判の個人登録を検討したが、県野球連盟から撤回を求められたという。

 ある審判は「高校球児として行けなかった甲子園を審判として目指す若手も多いのに、道が閉ざされてしまう」と懸念する。地区連盟は高校野球だけでなく、学童から社会人にまで審判を出しており「自分たちが県野球連盟から除名され地域が審判不足に陥ることは避けたい」と打ち明ける。

 県野球連盟は山形、米沢、新庄、鶴岡、酒田の計5地区連盟で構成される。企業やクラブの野球チームを統括し、県内で約400人の審判を抱えている。

 県高野連の菅谷明浩理事長は「県高野連は県野球連盟の傘下にあるわけではなく、大会の審判をどう編成するかは当方の判断だ。高校野球を審判したい人全員が参加できる公正な体制を整え、審判のなり手を掘り起こしたい」と語る。

 国内のアマチュア野球団体でつくる全日本野球協会(東京)の高橋大地事業課長は「審判の高齢化や人材不足に対応するため、共通のライセンス制度を新設し団体間の人材交流を促している。一般論として他団体との人材交流を止めるのは制度の趣旨からも望ましくなく、解決策を見いだしてほしい」と話す。

天童市野球連盟「県連盟が活動妨害」

 山形県野球連盟を巡っては、非加盟の天童市野球連盟が、活動を妨害されているとして、日本スポーツ仲裁機構(JSAA)に仲裁や調停を申し立てることを検討している。

 同市野球連盟によると、7月の全国高校野球選手権山形大会で、所属する審判が県高野連の推薦枠に採用され準備していたが、県高野連に審判編成を依頼された県野球連盟から大会前日になって排除された。

 1試合当たり1人2000円と設定している審判の報酬についても、県野球連盟から山形地区野球連盟などと同じ3000円に引き上げるよう要求され、運営に介入されたと訴える。

 市連盟の矢吹栄修会長は「われわれは審判技術を高める努力が評価され、各試合に呼ばれている。県野球連盟が県野球界を支配する構図になっているが、他団体を尊重し、嫌がらせはやめるべきだ」と話す。

 市連盟は県野球連盟傘下の山形地区連盟に属していたが、2016年に脱退した。市連盟によると、山形地区連盟幹部に活動を中傷されたほか、県連盟への納付金の負担が大きいことが理由という。現在は上部団体に属さず活動し、40人程度の所属審判は強豪の私立高の練習試合や大学野球の公式戦で年間延べ500試合程度をこなしている。

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