<モネのいる風景>映える風車、知名度アップ (上)長沼フートピア公園

オランダ風車の下で、盆踊りの指導をする佐藤さん(左)=登米市迫町の長沼フートピア公園

 NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の放映が5月に始まり、舞台の一つ宮城県登米市への注目が高まっている。市内のロケ地を歩き、そこで息づく人々の魅力を紹介する。(登米支局・宮崎伸一)

 「この曲、想像以上に盆踊りと合うよね」

 「おかえりモネ」の登米市ロケの中で、中心的な存在となった市迫町北方の長沼フートピア公園。指定管理者の佐藤純さん(49)が、後輩2人に語り掛ける。

 3人はドラマのテーマ曲「なないろ」に合わせ、盆踊りの映像を収録中。背景の丘にはオランダ風車が立つ。

 動画は、モネの放映で盛り上がった登米市の機運を形に残そうと、佐藤さんが発起人となって手掛けている。盆踊りのほか、フラダンスやレゲエダンスを踊る知人らに声を掛けて収録、「なないろ」で踊る市民の姿を動画でつなぐプロジェクトだ。

 佐藤さんは佐沼高を卒業後、進学や就職のため仙台や東京で暮らしたが、結婚を機に7年前、Uターンした。現在は公園を拠点に、登米を全国にアピールしようとアイデアを練る。

 「古里の人たちのために何かしたい、というモネの気持ちは分かります」。毎朝ドラマを見る度、清原果耶さんが演じる主人公の永浦百音(ももね)と自らを重ねる。東京で奮闘する姿を見て、「前向きに動けば道は開ける」と、自分も奮い立つ。

 オランダ風車は市のシンボル。放映で全国的にも知名度が上がり、公園周辺には風車を一目見ようと観光客が多数訪れる。

 「あれは飾り物ではなく本物の風車ですよ」と説明するのは、元迫町(現登米市)建設課長を務めた斎藤輝雄さん(71)。オランダから機材を取り寄せ、オランダ人の技師が造った経緯も伝えている。

 風車は長沼ダム事業の一環として、ふるさとづくり創生事業費などを活用し1991年3月に完成した。沼を見下ろす開けた風景に風車が似合うことが建設の理由だった。斎藤さんは「ドラマのロケ地になるとは想像していなかったが、いいものを作っておいて良かった」と振り返る。

オランダ風車と長沼ボート場クラブハウス(左下)。ドラマではクラブハウスにモネの勤務先の森林組合が入る

 公園と同時に整備されたのが県長沼ボート場だ。90年にはみやぎインターハイのボート競技会場として1000メートルコース、99年にはシドニー五輪アジア大陸予選会場として2000メートルコースを造り、国際A級コースに認定された。

 「常設2000メートルコースは日本には長沼以外にほとんどない」。とめ漕艇協会副会長の遊佐公男さん(72)は誇らしげに語る。今年は東京五輪、パラリンピックのポーランドチームが事前合宿で使い「最高のコース」と絶賛した。

 長沼ボート場は、放映で知名度が上がる前にも注目されたことがあった。2016年秋のことだ。東京五輪のボート・カヌー競技会場の候補地として突然、名前が挙がり地元は沸き上がった。

 協会事務局長の片倉孝仁さん(52)は「五輪が開かれることになったら整備が進み、さらに盛り上がっていただろう」と残念がる。

 それでも、遊佐さんと片倉さんは顔を見合わせて笑った。

 「五輪は来なかったが、モネが来たから良かったよ」

長沼ボート場の歩みを説明する遊佐さん(左)と片倉さん=登米市迫町の県長沼ボート場

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