河北抄(9/21):三木露風作詞、山田耕筰作曲の童謡『赤と…

 三木露風作詞、山田耕筰作曲の童謡『赤とんぼ』は、多くの人が正確にその詞を記憶しているに違いない。当欄の筆者もそうだけれど、どうも意味がよく分からない部分がずっと前からあった。

 <十五で姐(ねえ)やは嫁に行き お里のたよりも絶えはてた>。露風の幼時に子守をしてくれた少女がやがて嫁に行った…ここは分かる。その次、お里のたよりも絶えはてた? 誰の便り? 誰のお里?
 露風の母は夫の放蕩(ほうとう)に愛想が尽き、離婚して実家に戻った。婚家に残された露風はまだ5歳。別れた母の今を教えてくれたのが子守娘だったという。<お里のたより>とは、恋しい母の近況。

 以上は、和田典子著『三木露風 赤とんぼの情景』に教わった。詞の意味を巡っては従来、さまざまな解釈がなされてきたという。母を恋い慕う内容だという著者の見方は十分、説得力がある。

 露風は成人して母と再会する。やがて母が亡くなり、墓碑に直筆で次のように刻んだ。<赤とんぼの母 此処(ここ)に眠る 露風>。さて、空を見上げれば、秋色が濃い。そろそろ、赤とんぼも飛び交うか。

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