進む二極化、内陸部深刻(4)人口減<耕論・宮城知事選>

 村井嘉浩宮城県知事の任期満了(11月20日)まで、約2カ月。知事が力を入れた施策や課題は、4期16年でどう変遷したのか。秋の知事選を前に、230万人が暮らす県土を耕し、実り具合を確かめる。
(宮城県政取材班)

 数字は残酷なまでに、人口減少の厳しい現実を映し出した。

 宮城県の2020年国勢調査結果。全35市町村のうち8割の28市町で人口が減った。県全体の減少率は過去最高の1・3%。一部の自治体がたどる下降線は、「地方消滅」の危機を訴えた日本創成会議の人口予測「増田レポート」の想定に近い。

 東日本大震災で住民の転出が相次いだ沿岸部の減少率は、気仙沼市5・9%、石巻市4・7%など依然高い水準で推移する。震災後初の調査だった前回15年と比べて「回復」の体だが、地元からは「元にも戻っていない」(市長)と本音が漏れる。

 沿岸被災地よりむしろ、内陸部が深刻かもしれない。白石、角田、登米、栗原の4市はいずれも前回の減少率を上回る7%超。光明は見えない。

 東北唯一の百万都市は独走が続く。仙台市の人口は20年国勢調査で109万7196に達し、過去最高を更新。増加ペースは鈍化せず、人口のピーク予想は27年から1~2年、後にずれ込む見通しだ。

 人口は経済に直結する。全国で地価の下落傾向が強まる中、旺盛な住宅需要を背景に仙台圏は堅調に推移。直近の消費購買動向調査(18年)では仙台の商圏だけが客数を伸ばした。

 村井嘉浩知事は近年、拠点都市に資源を集中投資して県外への人口流出を防ぐ「ダム論」の利点を語る場面が増えた。インタビューや講演では「一極集中をネガティブに捉えず、いかに効果を同心円状に広げるかが重要だ」と繰り返すが、ダム論には懐疑的な見方も少なくない。

 住民基本台帳人口移動報告によると16~20年、県内6圏域から仙台市への転入超過数7393に対し、市から東京圏への転出超過数は2・4倍の1万8049に上る(図)。仙台市外の議員からは「水をためるダムではなく、排出するポンプでは」との皮肉が聞かれる。

 「仙台への水流を強めるような県政運営」(県議)も目に付く。(1)栗原市の県循環器・呼吸器病センター閉鎖(16年)(2)登米、栗原両保健所の支所化方針(20年)(3)仙台、石巻、白石、大崎、気仙沼5市にある県高等技術専門校の仙台への集約計画(同)-など、地域拠点の縮小が相次ぐ。

 かつて「県土の均衡ある発展」をうたった県総合計画は本年度更新されたが、具体的な過疎対策への言及は皆無に等しい。新型コロナウイルス禍で地方分散型社会に焦点が当たる中、宮城発の斬新な提言も盛り込まれなかった。

 内陸部のある首長は、広域防災拠点や次世代放射光施設といった大型事業が仙台で展開される現状から「県は仙台を向きすぎていないか」と疑問視。知事は「市町村重視の県政」を基本姿勢に掲げるが、「県の市町村離れが目立つ。自立が難しい地域にどう向き合おうとしているのか分からない」と困惑する。

 「仙台もいずれ人口減少局面に入る。一つの都市にぶら下がる発想は、県全体の沈下につながりかねない」と懸念するのは、被災地のまちづくりにも携わった東北学院大の柳井雅也教授(経済地理学)。「これからは時代や地域に合った社会課題解決型のイノベーター育成こそ必要。県は発想の転換が求められる」と提言する。

[メモ]2020年国勢調査によると、宮城県の人口は230万3487。国立社会保障・人口問題研究所は、40年に193万3258まで減少すると18年に推計した。日本創成会議(増田寛也座長)は14年、人口減で自治体機能の維持が困難となる「消滅可能性都市」として、県内35市町村のうち23市町村を挙げた。

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