(78)おふとんで死ぬ夢を見る秋の蝶/佐藤 幸(1992年~)

 死ぬ夢というと、忍者と壮絶な斬り合いをして崖から落ちるとか、とにかく怖い夢だと思っていた。掲句は怖い要素のない死の夢。あるいは自分の一生を走馬灯のように眺める夢なのかもしれない。夢の中の自分の死の床に止まった秋の蝶(ちょう)。飛び立ったその行方が何やら気になったまま目が覚める。不思議な充実感と少しの空虚な感じが読後に残る、まさに「秋思」の雰囲気を持つ一句。作者は仙台市在住。『青嵐 第2回、第3回愛媛新聞作品集』より。
(浅川芳直)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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