デスク日誌(9/30):中通り異景

 郡山市役所が立つ区画の角に「双葉町役場←」と書かれた案内板がある。矢印をたどって裏手に回ると、古びた建物の福島県双葉町郡山支所が見えてくる。

 東京電力福島第1原発事故で今なお住民避難が続き、仮のはずが開設10年を迎えようとしている。支所前の停留所に止まるバスは1日3本。利用者の大半が郡山市内の災害公営住宅に住む高齢の双葉町民だ。

 同県富岡町郡山支所は住宅街のかつて銀行だったと思われる建物に間借りし、同県大熊町も法務局近くに中通り連絡事務所を置く。所在なさそうにたたずむ建物の前を通るたび、心の中を冷たい風が通り過ぎる。

 自民党の新総裁が決まり、政局の焦点は総選挙へと軸足を移す。東日本大震災後にあった国政選挙全てで当時の安倍晋三首相は、福島の浜通りから全国遊説を始めた。野党の党首も多くは浜通りで第一声のマイクを握っている。

 曲がりなりにも政治が福島を気に掛けている姿勢だけはアピールしてきたが、十年一昔の今回は果たしてどうだろう。この国の政治指導者は福島を第一声の地に選ぶのだろうか。しっかり見届けたい。
(郡山支局長 矢野奨)

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