社説(10/1):デジタル庁接待問題/信頼回復へ「けじめ」示せ

 「オープン・透明」「公平・倫理」を基本方針に掲げた組織が、発足から1カ月もたたないうちに自ら看板倒れを露呈した。特に自身の立場と責任を顧みず、言い逃れを重ねる大臣の姿は目を覆うばかりだ。デジタル庁への信頼は出だしから大きく損なわれたと言わざるを得ない。

 事務方ナンバー2で事務次官級の赤石浩一デジタル審議官が内閣官房イノベーション総括官だった昨年9~12月、NTTから3回にわたり計約12万円の接待を受け、国家公務員倫理規程に違反したとして減給1カ月の懲戒処分を受けた。

 このうち2回には平井卓也デジタル相と向井治紀デジタル庁参与も同席していた。これらNTTによる平井氏への接待は今年6月、週刊文春の報道で表面化。この時、平井氏は職員も含め費用は「割り勘」だったと説明していた。

 ところが、実際には接待から半年後、同誌から取材を受けた日にNTTに支払っていたことが判明。「割り勘」とは認めにくくなり、赤石氏の処分に発展した。

 平井氏は今頃になって「一定の責任がある」として、閣僚給与1カ月分を自主返納するとしている。向井氏は今年9月1日付でいったん内閣官房室長代理を退職しており、処分は免れた。

 2001年に閣議決定された大臣規範は、関係業者との接触について「供応接待を受けることであって、国民の疑惑を招くような行為をしてはならない」と明記する。

 これに対し、平井氏はデジタル庁がNTTに対する許認可権を持っていないことなどを理由に、接待を受けても「国民の疑念を招く行為には当たらない」として、規範に抵触しないと主張している。

 国民には全く理解不能な身勝手な言い分だ。同席した職員を倫理規程違反で処分しているのに、自分は大臣だから許されるというのは、いくら何でも筋が通るまい。

 一連の接待の後、間もなくNTT子会社は内閣官房の情報通信技術総合戦略室から東京五輪・パラリンピック用アプリを受注した。デジタル庁はマイナンバーカード機能のスマートフォン搭載などを急いでもいる。

 許認可権の有無にかかわらず、NTT側から見て自分がどんな立場にあるか、想像が及ばなかったのだろうか。

 菅義偉首相がレガシーの一つとするデジタル庁は、首相を最高責任者として他省庁への勧告権も握る。こうした人物に今後も担当大臣が務まるのか、はなはだ心もとない。

 週刊誌報道を受けた6月下旬時点では、同席した職員の名前も公表されなかった。倫理規程違反の疑惑を隠し、赤石氏を9月1日発足のデジタル庁で要職に起用した疑いも生じる。うやむやでの幕引きは許されぬ。新政権に移る前に、全ての疑惑にしっかりけじめをつけるべきだ。

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