(81)もう我が田無けれど稔る田に安堵/島田 啓三郎(1926~2021年)

 作者は宮城県亘理町の人。河北新報の「河北俳壇」で長らく活躍された。掲句は2011年の作。普通には田を手放すというと、自ら土地を売ってということだろうが、東日本大震災の津波で突然、父祖伝来の田を失った人々のことも思われる。作者がどちらかは分からない。だが、他人様の田とはいえ豊かに実った田にわが事のように安堵(あんど)する達観には、喜びと悲しみを濾(こ)して、静かなたたずまいが見えてくる。2011年10月23日「河北俳壇」より。(浅川芳直)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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