(82)月の夜の柱よ咲きたいならどうぞ/池田 澄子(1936年~)

 夜に咲く花には夜顔や月下美人などがありますが、この句で開花したがるのは柱。私の想像だと、月光の注ぐ縁側のものがいいと思います。もちろん、加工され根を失った木が成長するはずはありませんし、花が咲くわけもありません。しかし、家を支え続ける柱に生きているような力を作者は感じたのでしょう。花を見たわけではありません。咲きそうな気配を感じ、促すように優しく見守っています。あなたの家にも咲きたがっている柱はありませんか? 句集『空の庭』より。(及川真梨子)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。


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