河北抄(10/5):10月はコーヒーの新年度。新物の生豆「ニ…

 10月はコーヒーの新年度。新物の生豆「ニュークロップ」が世界に出回り始める。コーヒーがよりおいしくなる秋だ。

 「幸せの香りをお届け」のチラシコピーに誘われた。てくてく、近所にできたコーヒー豆店まで。立ち並ぶ家の向こうから鼻腔(びこう)をくすぐるいい香り。ほどなく「いずみや珈琲(こーひー)豆専門店」は現れた。

 仙台市太白区八木山緑町の小さなお店。今年4月、大泉一之さん(43)が夫婦で自宅敷地にオープンした。店内にはピカピカの焙煎(ばいせん)機。種類やいり具合の違うコーヒー豆が入ったガラス瓶も並ぶ。「『歩いて来られる』と年配のご近所さんにも感謝されます」。目指すは地域に寄り添ったお店。宅配も計画中という。

 大泉さんは東日本大震災の時、陸上自衛隊の幹部自衛官だった。あの夜、霞目駐屯地からヘリコプターで飛び立ち、闇の被災地で火災の空中消火に当たった。厳しい任務の合間、安らぎをくれたのは心にも染み渡る1杯の温かなコーヒー。

 「コロナ禍ですが、コーヒーで街を笑顔にしたい」。広さわずか2坪ほどの店内から、豊かな香りと夢が広がる。

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