社説(10/6):若年層の大麻汚染/正確な情報を基に啓発を

 若年層の大麻汚染が深刻化している。薬物事犯(覚醒剤、大麻、麻薬・向精神薬・あへん)全体の摘発者数はここ数年、1万4000人前後で横ばいが続く一方、大麻事犯の増加は著しい。特に20代以下の摘発者が増えており、危険性・有害性の徹底した周知、啓発は急務だ。

 警察庁の組織犯罪の情勢によると、大麻取締法違反の疑いで摘発された人数は1761人だった2014年以降、右肩上がりで推移している。20年は3倍近い5034人に達した。特筆すべきは、若年層の割合の高さである。

 20代が2540人で全体の50・5%を占める。20歳未満は887人(17・6%)に上り、この5年で4倍以上に増えた。このうち高校生が159人、中学生も8人いたのが驚きだ。大学生は219人だった。

 大麻には、脳などの中枢神経系に影響を及ぼす成分が含まれる。乾燥させた葉などをあぶって煙を吸うと、幻覚作用や酩酊(めいてい)感がもたらされる。乱用によって学習能力が低下したり、精神障害を引き起こしたりする。成長期にある若者が負うリスクは大きい。

 大麻の単純所持で20年10、11月に摘発された748人の取り調べでも、特徴ある傾向が浮かぶ。大麻を初めて使用した年齢は20歳未満が361人、20代が288人で29歳以下が9割近くに及んだ。

 動機は「好奇心・興味本位」が最も多く、「その場の雰囲気」「ストレス発散・現実逃避」「多幸感・陶酔効果を求めて」などが続いた。年齢層が下がるほど、より身近な友人、知人に誘われて使用する比率が高くなる。

 約8割が覚醒剤の危険性・有害性を認識する実態とは対照的に、大麻への警戒心は極めて低い。軽い気持ちで手を出す傾向も顕著と言える。

 その一因は大麻に関し、会員制交流サイト(SNS)などで「身体に害はない」「依存性は低い」といった誤った情報が氾濫していることだ。売買にSNSが悪用されていることも挙げられよう。

 また、海外でクッキーやキャンディーなど大麻成分入りの食品が出回っていることも関係がある。最近は電子たばこのように吸える液状大麻の密輸も目立つ。規制薬物だという認識が薄れ、若年層への広がりを容易にしている。

 現行法は所持や譲渡、栽培などを禁じているが使用を罰する規定はない。使っても処罰されないとの思考が抵抗感を和らげているのも確かだ。

 大麻には依存性がある。乱用の長期化に伴って薬物への欲求が高まり、より強い刺激を求めて覚醒剤への転用を図る事例も報告されている。

 厚生労働省は大麻汚染対策の一つとして使用罪の創設を目指している。法整備の意図は理解できるが、児童生徒に正確な情報を提供し、早くから危険性・有害性の知識を植え付けることも肝要だろう。

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