(84)椋鳴くや文箱かつての宝箱/中矢 温(1999年~)

 大概、お宝というものは家族からごみ扱いされる。中身のお宝は捨てて、もとの空き箱に戻して再利用。一方、ずんぐりむっくりしてかわいらしい椋鳥(むくどり)は秋の季語。近年は都会での共生の難しさから害鳥扱いもされることがあるらしい。「宝物」とちょっと境遇が重なる。さて、かつての宝箱だった文箱だが、そこにしまう一通一通の手紙は新しい宝物。一度中身を捨ててしまっても、宝箱は宝箱という発見が明るい。「俳句四季」2021年10月号より。
(浅川芳直)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。


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