(86)ばらばらにゐてみんなゐる大花野/中西 夕紀(1953年~)

 コスモス、桔梗、萩、芒(すすき)…。秋の草花が咲き乱れる広大な花野を、作者は少し高台から眺めている。同行者たちはみなそれぞればらばらに散って、秋の草花をめでている。俳句会の吟行の様子なら、皆一句捻(ひね)っているところか。ふと、多様性とはこういう景色だろうか、と思う。出自も個性も考え方も違う一人一人が、互いの存在を認めて同じひとつの世界「大花野」に生きていることの美しさをたたえる。花野はほのかな光を放っている。句集『くれなゐ』より。(永瀬十悟)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。


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