(87)霧の奥より聲そして聲の主/堀田 季何(1975年~)

 同じ現象でも春は霞(かすみ)といい、霧というと秋季。ちなみに靄(もや)は歳時記には載っていない。一面の霧。都会ではなく、どこか人里離れた林…いや、ひょっとすると海だろうか。いずれにせよ霧が移ろい、たゆたうばかりの無音の世界。しかし耳を澄ますと聞こえるかすかな響き。これは風の音か、波の音か。やがてぬっと声の主が姿を現す。いや、ひょっとすると、この声の主は霧自身なのかもしれない。神秘的な句である。詩歌集『人類の午後』より。(浅川芳直)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。


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