デスク日誌(10/12):瞬間は永遠

 新聞の写真は大きな事件とは限らない。何げない一枚が、誰かの記憶をふっと呼び覚ますこともある。心の奥にしまい込んでいた大切な思い出の断片…。

 文化面で連載中の東日本大震災の証言を集めた「東北モノローグ」。写真は写真映像部が担当している。「懐かしい記憶がよみがえりました」。企画の中で掲載した東松島市野蒜海岸の写真を見た読者から、投稿欄「ティータイム」に感想をいただいた。

 盛岡市に住むという70代の主婦。震災前の約40年、野蒜海岸近くで暮らしたという。穏やかに波が打ち寄せるモノクロの写真が、かつての日常の記憶を手繰り寄せた。女性は「平和でとても癒やされたことを思い出しました」とも。

 フランスの写真家アンリ・カルティエ・ブレッソンは「瞬間は永遠につながる」と語った。瞬間を刹那(せつな)と置き換えると、震災で大切な物を失った私たちが痛感した思いにも通じる。

 海岸の写真が、女性の中の永遠なるものにつながったのならうれしい。少々おせっかいと思ったが、投稿欄の担当者に住所を聞き、写真を引き伸ばして贈らせてもらった。(写真映像部次長 佐々木浩明)

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