吉田川と阿武隈川支流の治水対策進む 台風19号豪雨2年

 2019年10月の台風19号豪雨に伴う治水対策が、宮城県内でも進んでいる。堤防強化や豪雨時の水位を下げる河道掘削だけでなく、遊水地や遊砂地を設けて増水時の流量抑制や被害の軽減を目指す。国の緊急治水事業は吉田川と丸森町内の阿武隈川支流で24年度の完了を見込んでいる。

吉田川/新たな堤防を移し、川幅拡大へ

左奥が決壊し、仮復旧した吉田川の堤防。右は甚大な被害を受けた糟川寺=大郷町

 宮城県北の吉田川は決壊1カ所を含む33カ所で越水し、流域の約5500ヘクタールに浸水被害をもたらした。

 決壊現場がある大郷町では9月下旬、国土交通省による新堤防の本格工事が始まった。川幅を広げて洪水のリスクを小さくするため、23年度までに新堤防を北東に最大で約80メートル移す。

 河道掘削は本年度、河口に近い東松島市や松島町で進める。川全体で約150万立方メートルを掘削し、本年度の進捗(しんちょく)率は9%。

 大和町で吉田川と合流する竹林川と善川付近に設けるのが遊水地だ。各支川の水位が上がった時、普段は水田となっている場所に計約250万立方メートルの水をためて吉田川への負担を減らす。2カ所とも22年度の完成を目指している。

 今月14日には、決壊地点から約6・4キロ下流にあり、水が10日以上滞留した大崎市鹿島台志田谷地で、「志田谷地防災センター」の着工式がある。22年3月の完成を見込む。

 国、県、市町が連携する「吉田川・新たな水害に強いまちづくりプロジェクト」に基づき、国直轄の総事業費は267億円。国交省北上川下流河川事務所の福田修副所長は「台風19号と同規模の豪雨が降っても堤防を越水させないことが目標」と説明する。

 

阿武隈川支流/3河川の上流に「遊砂地」整備

 丸森町では阿武隈川支流の内川、新川、五福谷川の3河川18カ所で堤防が決壊した。県の要請を受け、国が権限代行で復旧工事を進めている。並行して砂防工事も実施。土砂災害を防ぐために流路を広げた「遊砂地」を3河川の上流部に1カ所ずつ整備する方針だ。下流にある中心部への被害を食い止める。

 3河川の対象地点で流路を最大幅約100~150メートルに広げ、川底の傾斜を緩やかにして土砂が流れ出すのを抑制する「床固工(とこがためこう)」を設ける計画。区間は3河川で約400~800メートルを想定する。砂防ダムの新設や改築を含めて完成は24年度。県内で国が整備する初めての遊砂地となる。

 町内では3河川以外でも阿武隈川支流の雉子尾川が氾濫した。県が護岸工事や河道掘削を手掛けている。

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