台風19号2年 郡山の被災住民、募る治水不信 河川逆流の究明進まず

工期の遅れが続く逢瀬川改修工事の現場を見詰める期成会メンバー=郡山市若葉町

 各地に大きな爪痕を残した台風19号豪雨から12日で丸2年。治水に総力を挙げる国、福島県、各自治体だが、東北最大の被害に見舞われた郡山市では「水害発生の原因究明が不十分」と訴える被災住民の行政不信が収まらない。「水害都市」克服へ、住民の納得を後回しにして大規模工事が進む。

「対案示しても黙殺」  

 東北地方整備局の福島河川国道事務所郡山出張所と目と鼻の先にある阿武隈川で8日、報道機関向けの現地説明会があった。

 出張所脇の河道掘削は既に完了。職員は「掘削は全体計画220万立方メートルのうち70万立方メートルまで進んだ。河道の断面積を広げれば、大雨でも水位が下がる」と工事の意義を強調した。

 「それなら、うちの目の前はどうなんだ」。阿武隈川へ注ぐ支流逢瀬川に接した郡山市若葉町の住民たちは、ほぼ手付かずの護岸工事にため息をつく。今年3月末が終了予定だった工事は10月末に延期。今また再延期が確実な状況にある。

 台風19号豪雨で複数の河川が氾濫した郡山市では、市中心部1437ヘクタールが浸水。過去にもたびたび水害に悩まされてきた逢瀬川流域の6町内会は、台風被害の発生前から「堤防建設・内水対策期成会」を結成し、勉強会を続けてきた。

 付近では、阿武隈川の水が行き場を失って逢瀬川に逆流するバックウオーター現象が起きた。水位上昇を見て県営排水ポンプ場が稼働を停止しただけに、住民たちは「市営ポンプ場で排水を続け(阿武隈川の水量が増え)たのがバックウオーターの原因ではないか」との疑念を拭えずにいる。

 今年2月の説明会では、市中心部の雨水を逢瀬川に集中排水する雨水貯留管の敷設計画が明らかになった。図面を見て不安を感じ事情をただす住民に市当局は「説明を忘れていた」と応じた。

 期成会は市中心部の遊休地を雨水貯留場とするよう市議会に請願を繰り返しているが、6定例会連続で不採択。国と県は1級河川の改修、市は雨水対策という役割分担が、住民には縦割り行政の弊害にしか見えない。

 期成会の白土政穂会長は「われわれが対案を示しても行政は黙殺して取り合ってくれない。しっかり説明さえしてくれれば、納得できる部分もあると思うのだが…」と語る。

 期成会が国に出席を求めている説明会は新型コロナウイルス禍で開催延期が続く一方、東北地方整備局は報道陣に「現在の河川大改修が完了すれば、台風19号と同程度の豪雨が襲っても水害は発生しない」と説明した。

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