<ネット選挙ゼミナール@仙台>3時間目/動画サイト

 インターネットを使った選挙運動が今回の参院選(21日投開票)から解禁された。ホームページにツイッター、フェイスブック…。有権者はネット選挙の各ツールとどう向き合うべきか。ネット教育に力を入れる東北福祉大(仙台市)の教授らが講師となり、在仙大学生がゼミナール形式で特性や注意点などを学んだ。ツールごとに紹介する。

動画サイトに投稿するため候補者の街頭演説を撮影する運動員=4日午前、仙台市内

閲覧者コメントも表示

 参院選(21日投票)で各政党や陣営がビデオカメラ、タブレット型端末を活用している。候補者の第一声や街頭演説などの様子を撮影し、動画サイトに投稿、公開するのが目的だ。

 「無料閲覧では再生速度が遅いなど利用が制限されるサイトもある。僕はあまり積極的には見ていませんが」。東北大4年の大沼遼さん(21)が控えめに語る。

 ネット選挙ゼミの講師を務める東北福祉大教授萩野寛雄さん(43)がパソコンを手元に引き寄せた。

 画面には政党ホームページのトップページ。リンクをクリックすると動画サイトに飛んだ。党首らが有権者に政策や投票を直接訴える。テレビCMを思わせるその精巧な作りはさながら「ミニ放送局」だ。

 萩野さんは「新聞やテレビは政策や政局を『良識』というフィルターにかけて発信する。既成メディアに不満を抱く政治家がここぞとばかり、ネットで生の訴えを届けようとしている」とみる。

 次に萩野さんは、宮城選挙区の候補者ホームページへ移動した。宮城学院女子大4年の鎌田知里さん(21)の目が動画の再生回数を示すカウンターに留まる。候補者本人が登場する複数の動画が数十~数百回の再生にとどまっていた。

 当選に必要な数十万票のレベルとは隔たりがある。「票が欲しいという熱意は伝わってくるが、まずは有権者をサイトに呼び込む仕掛けが必要では」と鎌田さんは指摘した。

 選挙と動画の歴史は1960年の米大統領選にさかのぼる。ケネディとニクソンによる初のテレビ討論。ケネディが自信に満ちた印象を視聴者に与え、優勢だったニクソンに逆転勝ちしたとされる。

 ケネディはメーキャップをして番組出演。ここから「印象操作」という言葉も誕生した。半世紀を経た今、動画サイトは閲覧者のコメントをリアルタイム表示する機能も持つ。

 萩野さんは「印象操作が懸念される一方でコメント欄の双方向性を上手に活用すれば、動画サイトは民意集約の新たなツールにもなり得る」とまとめた。

 ゼミは前半の最後となる3時間目が終了。東北大大学院修士1年の福長悠さん(24)は「政治や選挙について学生同士で討論し、その動画を投稿したら若者の関心が深まる」と提案した。

[動画サイト]不特定多数が投稿した動画を視聴する「共有サイト」、動画がライブ配信される「中継サイト」に大別される。前者がユーチューブやニコニコ動画。ユーストリームやニコニコ生放送などは後者に当たる。2000年代の半ばごろから普及が進んだ。

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