列車と野生動物衝突、最多955件 東北・16年度の3倍

 東北のJR東日本各線での列車と野生動物の衝突が、2020年度は計955件と、16年度の統計開始以降最多となった。JR東はさまざまな対策を講じているが件数は増え続ける一方で、16年度の3倍近くに達した。専門家は「人間が山を利用しなくなったことで野生動物の移動が容易になり、生息域が拡大している」と指摘する。

人間の入山減少一因か

 JR東の盛岡、仙台、秋田3支社によると、16年度以降の衝突件数の推移はグラフの通り。20年度を支社別に見ると、盛岡754件、仙台176件、秋田25件と、盛岡管内が大部分を占めた。

 盛岡支社によると、20年度の754件のうち706件(94%)はシカやカモシカとの衝突だった。シカ、カモシカとの衝突はJR東全体でも1216件で、半分以上が盛岡管内だった。衝突地点の9割近くが山田、釜石両線で、シカが多く生息する沿岸部に至る路線だった。

 野生動物と衝突すると、車両の点検や後片付けなどで列車に遅れが生じる。盛岡支社は線路沿いに侵入防止ネットを張ったり、野生動物が嫌がる液剤を散布したりと数種類の対策を実施しているが、一向に歯止めがかからない状態だ。

 衝突件数の増加について、岩手野生動物研究所(盛岡市)代表の西千秋さん(41)は「シカが北上した」とみる。食害防止のため江戸から明治期に大規模に捕獲されたが、五葉山(大船渡市など)で一部が保護された。この五葉山系のシカが増え、「燃料革命」で炭焼きをしなくなったことなどで分布域が拡大。生息数が大規模捕獲前まで回復したと推測する。

 野生動物による被害は鉄路に限らない。高速道路上でも多発しており、東日本高速道路東北支社によると、東北を含む同社管内では毎年度、車にひかれたとみられる動物の死骸の回収が2万件前後ある。食害も絶えず、宮城県の20年度の被害額は過去5年で最高の2億円近くに達した。

山田線に現れたシカ(写真上)。磐越西線にも出没し(写真左下)、イノシシ(写真右下)も姿を見せた(JR盛岡、仙台両支社提供)

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