社説(10/14):宮城県知事選きょう告示/一票の重み 高める努力を

 任期満了に伴う宮城県知事選がきょう告示される。衆院選(19日公示、31日投開票)と同日の投開票にするため、8日前に日程が決まる異例の経過をたどった。同日選は前回(2017年)に続き2回連続。5選を目指す現職の村井嘉浩氏(61)と、元石巻市包括ケアセンター所長の医師で新人の長純一氏(55)による戦いとなる見通しだ。

 前回は国政の論戦の影に県政課題が埋没した感があったが、ダブル選の効果で、投票率は53・29%と前々回(13年)の36・58%から急伸した。知名度に勝る村井氏は、出身母体の自民党と連動した戦いで史上最多の82万票余りを獲得し、4選を果たした。

 今回、対立候補の長氏は9月28日に立候補を表明。出馬を要請した市民団体、共産党など野党系県議の支援を受けて村井県政への批判票などを取り込む構えだが、知名度向上や政策の浸透を図る上で、告示日の前倒しなどが不利に働く状況は避けられない。

 争点を整理する前に、選挙の在り方を改めて考えたい。知事選の日程は有権者に対する周知や立候補を検討する人々への十分な準備期間を確保するため、任期満了の数カ月前に決めるのが通例だ。宮城県選管は今回、早い段階から衆院選との同日選を模索し、日程の確定を先送りした。

 自民党総裁選さなかの9月28日、衆院選投開票日として当初有力視された11月7日か14日に知事選を実施する方針をようやく決定。だが、岸田文雄首相が10月31日の衆院選実施を明らかにすると一転、前倒しの方針に変更した。

 皆川章太郎県選管委員長は6日の決定後、同日選の利点として、新型コロナウイルス感染防止の観点や投票率向上などを挙げた。一方、同時期に任期満了を迎える広島県知事選(28日告示、11月14日投開票)は、立候補予定者の準備期間が短くなり不利益が大きいとして同日選への変更が見送られ、対応の違いが浮き彫りになった。

 コロナ対策や投票率の重要性に異論を差し挟む余地はない。ただ、民主主義の背骨を支える選挙には、丁寧な手続きや、より高い透明性、中立性が求められる。急転直下の衆院解散に伴い、日程が偶然重なった前回とは異なる。選挙の在り方を含め、宮城の政治風土が健全かどうか、考察すべき余地はあるだろう。

 知事選は今後4年の県政運営だけでなく、これまでの方向性を検証する大きな節目と言える。東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働同意や、上下水道と工業用水の運営権を民間に売却する「みやぎ型管理運営方式」、仙台医療圏の病院再編など、賛否が分かれる問題は山積している。

 論戦が再び衆院選にかき消されることを危惧する。候補者は有権者の関心を掘り起こし、一票の重みを高めるための努力を重ねてほしい。

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