デスク日誌(10/14):表層深層

 「書きたい」という意気込みだけが先に立つと、時に本質を見失ってしまう。それらを自戒を込めて「欲深い原稿」と呼んでいる。

 9月下旬に投開票があった自民党総裁選。低調だった地方政策の論議に関し、読み物が相次いで掲載された。一つは「持論アピール」と上っ面の発言と会見の経緯をすくい、もう一つは「具体策見えず」と背後の空虚さを指摘した。断面の捉え方は対照的だった。

 当落を懸けた候補者の言説や振る舞いは、突き詰めればにじみ出る我欲のぶつかり合いだ。美辞麗句に乗せられたり、大きな声に引きずられたり。しっかりした軸を持ちながら取材しないと、原稿は渦巻く思惑にのみこまれてしまう。

 事件報道が事実を掘り起こし、つなぎ合わせるパズルだとすれば、選挙報道はあふれる言葉や情報を取捨選択し、流れに応じて形をそろえるトランプに似ている。書く作業は目的ではなく、単に手段でしかない。

 衆院が14日に解散され、宮城県知事選も告示を迎える。4年前と同様に、19日公示の衆院選とゴールが重なった。投開票の31日まで、何を見いだせるか、現場と思い悩む日々が続く。
(報道部次長 元柏和幸)

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