(91)人減つて国滅ぶ日は蚯蚓も鳴く/小原 啄葉(1921年~2020年)

 秋の涼しげな草むらでは虫の音が響いていますが、蚯蚓(みみず)の声はどれでしょうか。「蚯蚓鳴く」は季語ですが、実際に鳴くことはありません。古来のおとぎ話や説話から引き継がれた現実にはない言葉が、季語にはいくつかあります。さて、人口は如実に減少していますが、この今が最後の日へと結び付くことを私たちはなかなか認識できないでしょう。滅ぶことはまだ空想ですが、その中では、するはずのない蚯蚓の声が本当に聞こえているのです。句集『無辜の民』より。(及川真梨子)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。


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