社説(10/15):衆院解散、総選挙へ/国力回復へ責任ある政策を

 新型コロナウイルス禍で疲弊した暮らしの好転に期待が高まる中、衆院が解散され、事実上の選挙戦に突入した。

 ウイルスと共存しながら、社会経済活動をどう回復軌道に乗せるか。国難の克服に向けて、政治の真価が問われる極めて重要な機会である。

 衆院選は19日に公示、31日に投開票される。解散から投開票まで17日間。各党は異例の短期決戦に総力を投じる。

 コロナの感染に見舞われて1年半余。この間に国のトップは2人も代わった。

 持病悪化を理由に政権を去った安倍晋三氏の後を継いだ菅義偉氏は、「安倍1強」の安定体制の継承をもくろんだ。しかし、指揮統制が機能不全に陥り、「説得力のある自分の言葉」を持たない発信力の弱さが人心の離反を招き、退陣に追い込まれた。

 岸田文雄首相は政権刷新の余勢を駆って、野党の陣立てが整わないうちに選挙に打って出れば有利だと打算を働かせたのだろう。内閣が発足したその日に、14日の衆院解散を表明した。

 首相の思惑通りに進むかどうか。

 内閣発足時の支持率は菅内閣のスタート時にも遠く及ばなかった。アクセルとブレーキのタイミングを度々外したこの1年の失政が記憶に新しく、民意は懐疑的だ。予想を覆す先手は時に緒戦を優勢に進めるが、党利党略を優先した「奇襲」とみられれば、しっぺ返しを食らいかねない。

 野党は菅政権が相手なら戦いやすいとの目算が狂った。政党支持率は自民が菅氏退陣で上昇した一方、野党は上向いていない。立憲民主、共産、国民民主、社民、れいわ新選組が共闘態勢を構築するが、候補者一本化は「野合」と受け取られ、もろ刃の剣になりかねない。

 岸田内閣は閣僚20人のうち、経済再生担当相などコロナ担当の3大臣をはじめ13人が初入閣だ。岸田内閣下の国会論戦は、首相の所信表明演説に対する各党代表質問のみだ。これでは新任大臣の資質と力量は評価しようがない。

 焦点となる経済政策で、与野党はこぞって現金の給付など「分配」を掲げた。

 分配の財源について、立民は消費税率5%への時限減税を訴え、財源を得るため赤字国債の発行に言及した。財政健全化を後回しにしているのは岸田首相と同じだ。

 首相は「成長も、分配も」と訴え、立民は「分配なくして成長なし」と主張するが、成長の道筋を明確にしないまま、借金を当てにするのは無責任だ。

 日本経済は長らく低成長から脱していない。それだけに「成長」は希望を抱かせるが、信頼を置ける政策でなければ支持を得られまい。

 国民の信を問うには判断材料が不十分だ。社会はコロナ有事のさなかにある。各党は政策の実現可能性を具体的に提示してほしい。

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