(92)渡り鳥古代の音の残らざる/春日 石疼(1954年~)

 録音技術により音声を残すことは可能となったが、音そのものは発せられた瞬間に消えてゆくものである。「古代の音」とは何か。昔の楽器が復元されその音色を聴くこともできるが、この句の音は古代の人々をとりまく音の風景ではないだろうか。炊事や機織り、狩猟や農耕の音など。それらは音にあふれる現代とは全く違った、「渡り鳥」の羽音も聞こえる静かで繊細なものだったろう。時間を旅して、想像力で聞こえないものを聞こうとする。句集『天球儀』より。(永瀬十悟)

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら
秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。


企画特集

先頭に戻る