「ブゥオウ」「ブゥン」
高さ約50センチのプラスチック製の箱から、くぐもった音が響いてきた。脇から直径約8センチの塩化ビニール製のパイプが延びていて、JR釜石駅(岩手県釜石市)の敷地沿いに500メートル以上にわたって敷設されている。
この不思議な装置の名前は「境界守(もり)システム」。同駅を管轄するJR東日本盛岡支社が4月から運用を始めたシカ対策だ。
獣が嫌がるスズメバチの羽音やオオカミのほえ声を発しつつ、スズメバチの臭いを放つ。パイプがそれを拡散させているのだという。
「人間には臭わないし、音量も大したことはないが、シカには脅威なのだろう。シカが駅構内に入って列車が遅れることがなくなった」。盛岡支社の溝口真司さん(43)が教えてくれた。パイプの外側には山林があり、以前はシカがホームそばの線路上にいることさえあったという。
盛岡支社が導入した獣害対策はこれだけではない。線路沿いに高さ2メートルの侵入防止ネットを張り、シカが嫌うライオンのふんから抽出した忌避剤を散布。山田線では東北で初めて、列車のスピーカーからシカが嫌がる音を流して逃がす「忌避音吹鳴(すいめい)装置」の運用も6月に始めた。
「多重防護」の背景にあるのは、列車との衝突件数の多さだ。JR東の東北3支社管内では2020年度、16年度の統計開始以来最多となる955件が発生。このうち8割近くが盛岡支社管内と群を抜く。獣によって1日2回以上、管内のどこかで列車がストップしている計算で、高齢者ら交通弱者の足を守れるかどうかが懸念されている。
野生動物に寸断されているのは鉄路だけではない。道路上も似たような状況に陥っている。
8月11日、東北自動車道の仙台南-仙台宮城インターチェンジ(IC)間の上下線と仙台南部道路の仙台南-山田IC間の下り線が一時通行止めとなる騒ぎがあった。原因は東北道に迷い込んだ1頭のイノシシ。仙台市太白区生出森東の中央分離帯の側溝に後ろ足が挟まって動けなくなり、猟友会が駆除するまで東北の大動脈が途絶した。
東日本高速道路東北支社によると、高速道路も多重防護を施している。全線に立ち入り防止柵を張り巡らしているのはもちろん、動物侵入防止柵を別途設置。トンネルの上部などを利用した獣道を設けるなどしているが、東北を含めた同社管内では毎年度、2万件前後の動物の死骸が回収されている。
一般道での衝突件数はまとまった統計がないが、車がイノシシと衝突して大破したり、50万円前後の修理費がかかったりするケースが各地で頻発。山間部に限らず、市街地のそばでも発生している。
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