(93)虫籠を星の高さに吊るしけり/茶屋 梓(2001年~)

 星空と虫の声、天地を一つに丸めてしまったような作品である。遠景の星空、近景の虫籠が詠まれているが、それを大きく容(い)れた生活、人のたたずまいが感じられる。虫の声の方向に星空もめでることができるということは、窓辺に虫籠を吊(つ)るしても苦情の来ない静かな環境が想像される。縁側のある、しみじみと昭和な家屋だろうか。「ムシ」「ホシ」「ツルシケリ」とイの音を効かせた虫の音に負けない韻(ひび)きの良さも味わいたい。『17音の青春 2020』より。(浅川芳直)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。


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