河北抄(10/16):15歳の少年は宇宙人のような人類共通の敵…

 15歳の少年は宇宙人のような人類共通の敵が現れたとき、みんなが力を合わせて世界平和が訪れると考えていた。30年後の2020年、世界は新型コロナウイルス禍に。何が不要不急か。五輪開催をどうするか。誰もが評論家になり、主張がぶつかり合った。協力どころか分断が加速し、共通の敵との闘いは今なお続く。「ああ、世界平和って遠いなあ」

 奈良県の安養寺住職松島靖朗さん。10人の僧侶による不要不急論を収めた『不要不急 苦境と向き合う仏教の智慧(ちえ)』で「人間の弱さがあぶりだされた」とつづる。松島さんは寺の供え物を経済的に困難な状況にある家庭へお裾分けする活動を展開。「セーフティーネットからこぼれ落ちる人たちの依存先の一つとして寺にできることはたくさんある」と必要緊急の声をすくう。公助や共助ではなく、「仏助」を掲げて。

 感染拡大抑止のため不要不急の「線引き」を突き付けられ、ゴールが見えぬトンネルの中を延々と走らされ続けてきた。選挙の秋。出口の明かりを示してくれる候補者は現れるだろうか。

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