社説(10/17):コロナ下の街路環境/歩道の有効活用を考えよう

 歩道でのテラス営業を可能にするため、国土交通省が導入した占用許可の特例措置の期限が、9月末から来年3月末まで延長された。新型コロナウイルスの影響を受ける飲食店などへの支援の一環で、恒常的に歩道の占用が可能になる新制度も始まっている。

 通行に支障が出ないという大前提はあるものの、「ウィズコロナ」の時代にあって、自治体の街路環境整備には、歩道を最大限活用し、沿線店舗などをサポートするような視点も求められている。

 国や自治体はこれまで、歩行者の安全確保のためとして飲食店が歩道に机や椅子を出すことをほとんど認めてこなかった。コロナ下で「3密」を回避して感染リスクを抑える方策の一つとなる飲食店などの屋外営業を支援するため、特例措置では2~3・5メートルの歩行幅の確保を条件に許可要件を緩和した。

 今回の特例措置は、自治体や商店会などの団体を対象にしたもので、占用料も免除する暫定的なコロナ対応措置として昨年6月に試行。延長を繰り返し、これまでに全国で約420件の許可が出されている。

 昨年11月からは、この特例措置を恒常化する新制度「歩行者利便増進道路」(通称・ほこみち)が始まった。

 道路管理者が路線と利用区域を指定することで、歩道を団体だけでなく個人でも占用できるようにする仕組み。テラス営業や露店の設置のほか、自転車レンタルスペースなども設営できる。今年2月に神戸市の三宮中央通りが全国で初めて指定されたのを皮切りに、既に42路線が指定を受けている。多くの地域が特例措置からの移行組だ。

 コロナ下で注目されるようになったほこみち制度は、国交省によると、歩行者中心の道路空間を構築するという観点で、以前から検討されていた。

 仙台市の定禅寺通や山形市の七日町大通りでも、車線を縮小して歩行者空間を拡大する社会実験が今年相次いで行われた。定禅寺通については本年度内をめどに官民でつくる検討会が基本構想をまとめる予定で、市は「構想方針によるが、ほこみち制度の利用についても、構想がまとまった後に検討対象となるだろう」(定禅寺通活性化室)としている。

 コロナの完全な収束はまだ見通せず、以前のような生活スタイルに戻るのには時間がかかる可能性もある。

 カフェ文化が根付く海外では、コロナに伴う活動制限下で、同じ飲食店でも感染リスクが低い屋外席だけに営業が認められるといったケースが見られた。街の潤いともなる屋外の飲食スペースなどは、一定の行動制限の中にあっても、飲食店の貴重な収入源を確保する場にもなり得る。自治体の街路環境の整備に当たっては、そうした空間づくりにも配慮してもらいたい。

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