岸田首相が福島第1原発視察 「復興に前向きな姿勢を」地元から注文

 岸田文雄首相が17日、就任後初めて福島県を訪れ、東日本大震災で事故が起きた東京電力福島第1原発(大熊町、双葉町)などを視察した。19日の衆院選公示直前の福島行脚に、復興相と沖縄北方担当相の兼務問題で浮上した「復興軽視」との見方を払拭(ふっしょく)したい思惑ものぞく。県内の自民党関係者らからは「もっと復興に前向きな姿勢を示してもらいたい」と注文がついた。

東電幹部から福島第1原発の廃炉の状況について説明を受ける岸田首相(手前)=17日午前10時ごろ(代表撮影)

 首相は17日午前に第1原発を訪問。東電幹部から燃料取り出しの進捗(しんちょく)状況や海洋放出方針が決まった処理水について説明を受け「地元との信頼関係を大事にしっかり作業を進めてほしい」と求めた。

 午後は全住民が避難を続ける双葉町で帰還困難区域に入り、来年の避難指示解除を目指す特定復興再生拠点区域(復興拠点)を視察。区域外も手付かずの現状を車中から確かめた。富岡町では避難解除後に帰還した住民ら4人と懇談した。

 視察後、首相は記者団に「処理水は先送りできない重要課題だと痛感した。さまざまな懸念払拭に全力で取り組まねばならない」と強調。約1年半後に迫った処理水放出に漁業者らが反対し続けた場合の対応を問われ「先の状況について予断を持って申し上げることは控える」と語った。視察には西銘恒三郎復興相と内堀雅雄知事が同行した。

 衆院選を自民公認で戦う県内の立候補予定者の陣営は「追い風になる」と首相の訪問を歓迎。党県連幹部は「復興相兼務の件で『被災地が忘れられた』と言う人も多いが、岸田さんは話を聞いてくれる人。復興政策をしっかりアピールしてほしい」と望んだ。

「復興軽視」払拭したい思惑のぞく

 復興相の兼務で新内閣の復興への向き合い方が問われた。首相は「福島の復興再生に全力で取り組む」と慌てて発信したが、冷ややかに見る有権者は多い。

 福島市の主婦(80)は「処理水や復興拠点外の除染の問題など課題が多いのに、復興についての発信が弱い」と指摘。郡山市の自民党員の男性(70)は「復興へのトーンダウンを感じざるを得ない。震災から10年たつとそんなものなのかな。(福島訪問も)パフォーマンスに映る」と話した。

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