現職と新人の一騎打ちか 宮城・南三陸町長選あす告示

 任期満了に伴う宮城県南三陸町長選は19日、告示される。ともに無所属で、5選を目指す現職の佐藤仁氏(69)と、新人の町議千葉伸孝氏(65)が立候補を表明しており、両氏による争いとなる見通し。

 佐藤氏は東日本大震災の復興事業の一部が残るとし「復興完遂が私の使命」と訴える。新型コロナウイルス対応のほか財政基盤の安定化、医療体制の整備、産業振興などを掲げる。

 千葉氏は現職の震災対応を「観光誘客を優先し人口減少を招いた」と批判。震災犠牲者の名を刻む慰霊碑建立や町独自の全世帯への定額給付金支給、震災遺構整備などを目指す。

 投票は24日で即日開票される。

 同日選の町議選は定数が現行の16から13になる。現職10、新人3の計13人が立候補を予定し、別の新人1人が出馬を準備する動きもある。

 17日現在の有権者は1万696人。

不振が続く秋サケの水揚げ作業=16日午前6時20分ごろ、南三陸町志津川の町地方卸売市場

 東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた南三陸町は震災10年でハード面の復興事業をほぼ終えた。しかし基幹の水産業は主力魚種の水揚げが低迷し、中心部に偏るまちづくりには不満もくすぶる。持続的で調和の取れた「ポスト復興」のまちづくりが問われている。
(気仙沼総局・鈴木悠太)

震災から10年、水産業の低迷で先行き不安

 「厳しい。皆無に近い」。今月中旬、三陸沖で約40年、秋サケの刺し網漁をする同町の荒屋長栄丸船長阿部実さん(57)が嘆いた。

 本来は最盛期で、かつて1トン以上取れる日もあったが、今年は数匹やゼロの日が続く。阿部さんは「燃料代や人件費で漁に出るだけ赤字だ。別の道を考えるべきなのか…」とこぼす。

 町地方卸売市場で主軸だった秋サケは、過去10年で水揚げ量が1割以下に激減。売り上げもピーク時の2014年の8億3700万円から20年は1億3600万円に減った。19年度から市場は赤字で、県漁協志津川支所が運営撤退を検討する事態に陥っている。

 海の変化で他の天然魚も減少傾向。影響は加工や運送など関連業種にも及ぶ。水産業の維持には養殖魚種を広げるなど、今までにない努力が要る。町議の一人は「先を見据え別の産業も育てないと」と話す。

中心部に偏る復興まちづくりに不満も

 震災後、町は観光振興に力を注ぐ。同町志津川の「南三陸さんさん商店街」は復興のシンボル。同地区には昨秋、震災復興祈念公園が開園し、来春は震災伝承施設や道の駅もできる。

 「志津川の一部だけにぎわい、歌津は蚊帳の外だ」と歌津の飲食店経営男性。05年に合併した旧志津川町、旧歌津町の地域間格差を訴える声は強い。新型コロナウイルス下でもさんさん商店街は堅調だが、歌津の商店街「ハマーレ歌津」は客足が遠のく。

 復興後の拠点となるハマーレ近くの広場は国道復旧などに手間取り、完成予定は来夏だ。町は広場の隣接4区画を分譲・賃貸し、民間活力でにぎわい創出や経済活性化を図るが、今年8月に募集を開始し正式な応募は来ていない。

 男性は「歌津の住民も復興に向けて頑張ってきた。今こそ町に後押ししてほしい」と願う。

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