<仙台いやすこ歩き>(150)登米市物産直売所/新鮮食材 レシピも紹介

 色づき始めた林からの爽やかな風。やってきました、登米市。この文章を読んだ画伯が、「あぁ、またか…」とトホホ顔を浮かべるのが見えるようだ。ごめんなさい、林は東照宮裏手のトチノキ林、着いたのは「登米市物産直売所」(仙台市青葉区堤町)。先着していた画伯と野菜コーナーを巡り、「これ買って帰ろ」「あれも」と秋の恵みに目も心も奪われてしまう。

 多くの人でにぎわう中、品物の並べ方やお客さんの対応が一段落した隙を見つけ、スタッフの伊藤純子さん(51)に話を伺うことに。にこやかに和やかに話してくれるので、何だか登米の田畑のあぜ道ででもおしゃべりしているような錯覚におちいる。

 オープンしたのは15年前だそう。「物を売るというよりは、登米を知ってもらうことを目的に始まったんです」。登米市は広いし、かつての町村のどこどこが含まれているのかも、あやふやだ。NHKの朝ドラ「おかえり モネ」でだいぶ知られるようになったが…。

 当初、お客さんは近所の人がほとんどで、これではお店が成り立っていかないと商品を増やしていったら、家族連れ、単身の人、近くの病院にバスで通う人が週1で立ち寄ってくれるなど、客層が多彩に広がっていったそうだ。

 「野菜を販売するようになったのが良かったようです。農家さんの販路も広がり、ここでつながるようになりました」。おいしかったというお客さんの言葉を、スタッフが生産者に伝える。すると、喜んでまた一生懸命作ってくれるという、おいしい循環が生まれているそう。

 スーパーで売っていないような野菜作りにも挑戦し、お試しでも買えそうな値段で販売。その際はスタッフもその野菜を使って料理し、こんな食べ方がお薦めですと、手書きPOPや口頭でアピール。「それがいいのよね~」といやすこ。ちょっとやってみようかな、なんて考えてしまうのも、また楽しい。

 登米といえば、米どころ宮城の中でもきっての米どころとして有名。そして、ここに置いてあるお米は、減農薬か有機肥料だけで育てているという。「玄米食の方には特にお薦めですよ」という言葉に、いやすこ取材を通して玄米食中心になった画伯は、買う気満々である。

 これからは白菜、おでん大根、そしてリンゴも並ぶそう。「リンゴ農家さんが、今年は味はいいものの、始めて以来の不作だと言っていました。苦労されているのだろうなと思います」と話す伊藤さんは、ここで働くようになって天候が気になるようになったという。「農家さんと話し、お客さんと話し、それが醍醐味(だいごみ)で、だから楽しくって」とうれしそうな伊藤さん。登米の人と思いきや、仙台生まれだそう。ここは、農産物も人も、仙台の中の登米である。

 買った野菜たちのピンピン具合、味わいの深さを実感。「10月ともなればお米がずらりと並びます」と聞いていたので、いやすこは10月に入ってすぐに、新米を買いに出掛けた。1合から売っているササニシキを買い、白菜、ネギ、油麩(ふ)、はっと汁のセットを購入。豊かな大地と空気感まで一緒に、おいしい料理に浸る。モネ気分だ~。

環境保全米 水田の8割超

岩手との県境にあって栗原市と気仙沼市に挟まれた登米市は、ほぼ平野で中央を北上川が貫流する肥よくな田園地帯。農業産出額は東北地方でも屈指で、ササニシキ、ひとめぼれなどのブランド米を生産するほか、環境保全米の発祥の地でもある。

 環境保全米とは、化学農薬や化学肥料を慣行の半分以下とするばかりでなく、よい種もみを選別して温湯で消毒したり、田植えも5月15日以降の適期に行い、苗と苗との間を適度に広げたりと細やかに米作りを行う。さらに化学農薬や化学肥料を減らした効果を確かめるために、田んぼの生き物調査まで行い、その情報も公開している。

 環境保全米型農業のきっかけとなったのは、1991(平成3)年の河北新報キャンペーン「考えよう農薬・減らそう農薬」。これを機に環境保全米ネットワークが設立された。いち早く「赤とんぼの乱舞する自然環境の復活」を目標に運動を開始したのが登米で、環境保全米作りは、水田の80%以上まで普及している。

 土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。

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仙台いやすこ歩き

土地にはその土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター・みうらうみさんとイラストレーター・本郷けい子さんが仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。

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