政見放送は編集なし、途中でかんだら… NHKの収録スタジオに潜入

<選挙に行こうZ!!>Z世代と考える低投票率(2)

 仙台市内の大学生有志と選挙の現場に潜入し、投票率が低い理由や改善のヒントについて考える「選挙に行こうZ!!」。2回目は長い歴史があるというテレビの政見放送の舞台裏に迫ってみようと、収録と放映を担うNHKの仙台放送局(仙台市青葉区)にお邪魔した。
(編集局コンテンツセンター)

政見放送の収録スタジオを見学する平林さん(手前)と尾形さん=11日午後2時50分ごろ、仙台市青葉区のNHK仙台放送局

 通常の番組から、花一つないモノトーンの質素な画面に切り替わる。「これから候補者の経歴と政見を放送します」。クリーム色のバックボード、青地に白文字の名札。テレビの政見放送は1969年から50年以上にわたり、国政選や都道府県知事選のたびに放送される「長寿番組」だ。

 宮城県知事選の告示が迫った10月中旬、「選挙に行こうZ!!」メンバーの平林由里香さん(19)=仙台青葉学院短大2年=、尾形愛々子(りりこ)さん(18)=尚絅学院大1年=が仙台放送局であったリハーサルを見学した。

 普段はアナウンサーやタレントが出演する番組の収録スタジオの中央に、セットが組まれていた。中学校の修学旅行で民放の情報番組のスタジオを見学した経験がある尾形さんは「セットの色使いが地味で、職員に緊張がみなぎっているように感じる」と驚いた。

 全国の各放送局で同じ条件で収録できるよう、NHKの内部規定で名札の文字の大きさをはじめ、カメラやマイクの位置、高さに至るまで厳密に決められている。カメラマンやディレクターが打ち合わせや確認を繰り返し、照明・撮影機材を調整していた。

 仙台放送局放送部の大森貴史さん(28)は「公平公正を担保するため、政見放送の収録では普段以上に誤りは許されない」と表情を引き締めた。

制限時間を超えたらカット、収録は2回まで

 候補者の持ち時間も自治省(現総務省)の告示で定められている。知事選は候補者1人につき5分半、衆院選は各都道府県の届け出政党ごとに9分。衆院選は基準を満たしていれば候補者が制作業者に撮影を依頼した映像を持ち込むことも可能だが、無所属の候補者は政見放送の対象にさえならない。

 費用は選挙の実施主体が負担する。知事選なら県選管、衆院選なら中央選管となる。総務省によると、衆院選でNHKで収録した場合は119万円、持ち込みの場合は制作業者に287万円を上限に、NHKにも49万円がそれぞれ支払われる。

 普段の番組であれば収録後に一部削除したり、テロップを補ったりすることもあるが、政見放送は編集しない。「制限時間を超えてしまったら?」「途中でかんでしまったら…」。メンバーから疑問が相次いだ。

 制限時間を超えた部分は放送されず、収録は2回までという。平林さんは「私だったら緊張の余り、失敗するかも。ただ、何回も撮り直して完璧になったとしても、かえって人となりが分かりづらくなるかも」と頭をひねった。

平林さん「ネットでいつでも視聴できたら」

 「持ち時間が決まっているため、街頭演説と比べて候補者の言いたいこと、重要なことがはっきり伝わってくる。演説会場にわざわざ足を運ばなくても、候補者の人となりや考え方を詳しく知ることができるのはいい。

 ただ、普段はテレビを見ているよりSNS(会員制交流サイト)を使っている時間が長い。周りの友達の会話に出てくるのもドラマぐらいで、バラエティーやニュースはほとんど話題に上らない。

 『何時から何時まで放送する』と言われても、ピンポイントで都合を合わせるのは難しい。インターネットでいつでも視聴できるようになれば若い世代には便利だ」
(仙台青葉学院短大2年・平林由里香)

尾形さん「かんだところは編集してもいい」

 「セットの大きさ、撮り直しの回数などが細かく決まっていて、ここまできちんとしなければならないのかと驚いた。時間制限は必要だとしても、かんだところくらいは編集してもいいのではないか。もし私が候補者だったら、5分以上1人で話し続けるのは難しい気がする。

 今回まで、政見放送という制度があること自体知らなかった。自宅はリビングにしかテレビがなく、あまり見ない。むしろ、パソコンやスマートフォンでSNSで友達の投稿や動画を見ることが多い。『何日の何時に放送します』ともっとアピールしないと、私と同世代の大学生には見てもらえない」
(尚絅学院大1年・尾形愛々子)

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