(98)掌(て)の胡桃(くるみ)山河を蔵しゐるごとし/永島 靖子(1931年~)
手のひらに包んだ胡桃を触覚で味わう。しわしわでごつごつで、軽いが中身がぎっしり詰まっているのが感じられる。作者はその感触を、「山河」を蔵しているようだ、と想像の翼を広げた。目をつむると、山河のドラマ…
関連リンク
- ・(97)友の子に友の匂ひや梨しやりり/野口 る理(1986年~)
- ・(96)こう(ママ)ろぎや夜は明(あけ)てある壁のすき/上田 秋成(1734~1809年)
- ・(95)月天心貧しき町を通りけり/与謝 蕪村(1716~1784年)
- ・(94)胡桃割る丸ごとの淋しさを割る/塩野 谷仁(1939年~)
- ・(93)虫籠を星の高さに吊るしけり/茶屋 梓(2001年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。