(99)晴れやかや書けば一人となれる秋/野名 紅里(1998年~)

 われわれの使う言語は、もやもやした言葉にし難いものを抱える人にはつくづく不便である。「思ってること言っていいんだよ」という台詞(せりふ)も、うがった見方をすれば、その人に説明責任を負わせる発話でしかない。理解などいらぬ、自分にさえ分かればいい。でもそれを表現する言葉さえ普通の語彙(ごい)には見当たらず、意味不明であっても言葉を書き付けるむなしさとも爽快ともつかぬ感覚。1人の時間こそ、そんなことができる唯一の時間なのだ。「秋草」2020年12月号より。(浅川芳直)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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