選挙の「マジメな空気感」変えてみては? 仙台在住のラッパー・HUNGERさんに聞いてみた

 政治家もマスコミも課題とする選挙における若い世代の投票率向上。どうすれば心の琴線に触れるのか、足を運んでくれるのか。リズムに乗せて即興で自分の思いを届けるラッパーに聞いてみた。(編集局コンテンツセンター・佐藤琢磨)

ヒップホップグループ「GAGLE」のラップ担当「HUNGER」さん=25日、河北新報社

投票終えたら、おいしいコーヒー1杯

 「選挙の真面目なイメージや投票所の雰囲気を変えてみてはどうでしょう。投票率、上がると思いますよ」。仙台を拠点に活動する3人組ヒップホップグループ「GAGLE(ガグル)」でラップを担当するHUNGER(ハンガー)さん(43)は言葉にぐっと力を込める。

 音楽業界もコロナ禍の影響を受け、ガグルの活動もオンライン中心に。ハンガーさんは写真共有アプリ「インスタグラム」で毎朝ライブ配信をしてファンと交流する。「生ライブよりファン層が若かったり、女性の割合が多かったり。話してみるといろいろ気づかされることも多い」と言う。

 投票しない人たちは、選挙が醸し出す真面目で堅苦しい空気を敬遠する気持ちがあるとハンガーさんは見ている。「若い人向けのスタイリッシュな投票所があったらいいですね。投票を終えたら街のおいしいコーヒー屋さんの1杯が飲めるとか、受けると思います」とアイデアを披露する。

 政治的な話題は人間関係に誤解を招きかねないとも語る。「友達に『お前、マジメか』とか言われたくない。右寄りとか左寄りとか政治的な考えを明かして関係を気まずくしたり、その対応にエネルギーを注いだりすることにも抵抗が大きいんじゃないかな」と指摘する。

 ハンガーさんも20代の頃は選挙に全然関心がなかったという。「音楽に夢中で他のことは何も見えなかった。もちろん、投票も行ってなかった」と振り返る。転機は結婚。30代になり、「嫁さんから『権利、ちゃんと使いなよ』って言われて。彼女は欠かさず投票していたので」。2人一緒に赴く投票は、今では気軽で自然な行動になった。

内装変え、BGMも…並びたくなる投票所に

 米国では政治的な信条を抜きにして、投票に行こうと呼び掛けるだけの音楽フェスもあり、意識向上につなげているという。「日本ももっとカジュアルなイベントにするといい。友達同士で『いつ投票行く?』って言い合えるとか、投票日を意識するようになるだけでも前進」とハンガーさん。

 若者が政治に関心がないとは思わない。ただ、投票所は「まるで昭和」で魅力がないと言う。「従来の形に加え、若者が並びたくなるような投票所を設置してはどうか。外観や内装を変えたり、音楽を流してみたり。あの重い雰囲気は1票の重みを感じるためでもあると思うけど、若者を呼び込みたいなら別の何かを考えた方がいい」と提案する。

 雰囲気や空気感は漠然としてとらえ所がない。でも、「そこを破らないと若い世代の投票率は上がらない」と考える。「一度票を入れれば、自分の気持ちに光を当てられる。自分の文字で書くという行動から気づくこともある。でも、まずは足を運んでもらわないと」とハンガーさんは熱く訴える。「僕の話、真面目すぎますかね」と笑いながら。

[GAGLE]1996年にMC HUNGERと実兄のDJ Mitsu the Beats(ミツ・ザ・ビーツ)、DJ Mu-R(ミューラー)で結成した仙台在住のヒップホップグループ。バスケットボールB2仙台のテーマ曲なども手掛けている。コロナ禍のため昨年からオンラインライブを軸に活動していたが、11月5日から長野県松本市で行われる野外フェス「りんご音楽祭2021」で1年ぶりにライブ出演を再開する。

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