(102)草山のすつかり刈られ秋の風/大須賀 乙字(1881~1920年)
さみしいと言わないでさみしいと感じさせる。一陣の風に、その季節の感じだけでなく、人間の心情も自然の変化に重ねて突っ込んでしまう。そんなところがこの句のポイントだと思う。無造作に置かれた「すつかり」が…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。