スマホで投票済ませられたら便利なのに… 期日前投票を体験してみた

<選挙に行こうZ!!>Z世代と考える低投票率(5完)

 アルバイト、友人とのコミュニケーション、そして家族の用事…。20歳前後の若者「Z世代」は休日も忙しい。選挙で一票を投じる大切さは分かりつつも、ついつい後回しになってしまうこともある。大学生有志が投票率向上策を考える「選挙に行こうZ!!」。最終回はメンバーが衆院選と宮城県知事選(ともに31日投開票)の期日前投票を体験した。
(編集局コンテンツセンター)

期日前投票する尾形さん(右)と平林さん=28日午後4時50分ごろ、名取市役所

課題はアクセス

 28日夕、投票は初めての尾形愛々子(りりこ)さん(18)=尚絅学院大1年=と2度目の平林由里香さん(19)=仙台青葉学院短大2年=が名取市役所に足を運んだ。自宅に届いたはがきの投票所入場券を手に受け付けに向かうと、職員から「裏面の記入はお済みですか?」と尋ねられた。

 期日前投票は、投票日の当日に投票所へ行けない理由を入場券の記載から選んで丸を付け、自ら署名する決まり。前回の市長選の時は投票日に投票した平林さんは「理由を聞いて何の意味があるのだろう」といぶかった。

 2人は投票すること自体については「簡単」と口をそろえた。ただ、尾形さんは「はがきを見せる以上の本人確認がなかった。他人に成り済ますこともできそうな環境だけど、かといって厳密にしたら面倒」と頭をひねった。

 課題に挙げたのは期日前投票所へのアクセスだ。平林さんは「自宅近くか通学ルート上にあるといい」と話す。市役所周辺に足を運ぶ機会はめったになく、学校に近いアエル(仙台市青葉区)の期日前投票所は仙台市民しか使えない。

 公選法は市区町村選管が投票所の場所を決めると定めている。アエルには、仙台市の5区選管がそれぞれ設置している建前。名取市も参加する余地はあるが、常駐する職員や立会人を確保する必要がありハードルは高い。

投票しやすい環境を

 尾形さんは各自が所有するスマートフォンによる電子投票を提案する。請求書などで用いられるシール式はがきの内側にQRコードを印刷すれば「開けて読み取るだけで投票できる」と語る。

 しかし公選法は、投票所で投票用紙に候補者名や政党名を自書し、投票箱に入れなければならないと規定する。

 さらに電子投票は条例を制定した自治体の首長選と議員選に限られ、投票所に出向いて機器を操作する必要がある。開票作業の迅速化を目的に宮城県白石市や青森県六戸町が一時導入したが、費用がかさむことや機材確保の困難さから廃れてしまった。

 「市内に1カ所しかない期日前投票所にわざわざ行くほどの関心はない」。尾形さんは同世代の政治意識を分析した上で「投票しやすい環境に変われば投票率はおのずと上がる」と期待を寄せる。
(このシリーズは藤沢和久が担当しました)

平林さん「親近感のある選挙、政治に」

 衆院選の小選挙区と比例代表、最高裁裁判官国民審査、知事選と4種類の票を投じた。用紙と箱が色分けされていて、仕組みも単純で難しくはなかった。

 投票先を選ぶ上で何を参考にすべきか迷った。最終的にはスマートフォンで県選管のホームページにアクセスし、選挙公報を見て決めた。

 そもそも、同世代の友達と選挙や政治の話をすることはない。私も最初は難しく感じていたが、きちんと文章を読んだり話を聞いたりすれば理解できた。若い世代に親近感を感じてもらえる選挙、政治になってほしいと願っている。
(仙台青葉学院短大2年・平林由里香)

尾形さん「投票先選びやすい工夫必要」

 衆院選と知事選は候補者のポスターや政見放送、選挙公報を見比べて投票先を決めた。期日前投票所の記載台の掲示は名前が羅列されているだけで、下調べをしていないと誰に投票していいか分からないだろう。

 例えば名前の横に、最も取り組みたい政策を一言で記載してもらうという改善はどうか。投票しようという気持ちになった人が選びやすい工夫が必要だ。

 最高裁裁判官の国民審査は誰がどんな判決を下したのか分からなかった。「やめさせた方がいい人に×を付ける」と言われても判断に迷った。
(尚絅学院大1年・尾形愛々子)

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る