投票日の朝、各投票所に一番乗りした人だけができる役割がある。投票箱の中身が空であることを確認する「零票確認」だ。2019年の参院選では「#零票確認ガチ勢」のハッシュタグ(検索目印)を付けたツイッター投稿が盛り上がりを見せた。早起きが苦手な記者(39)が挑戦してみた。(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)
まずは作戦だ。何時に到着する必要があるのか。19年の投稿を調べると「午前3時から並んだ」という真のガチ(本気)派から、「5分前に到着しただけなのに申し訳ない」という偶然派までいて、悩ましい。
仙台初売りで徹夜組はざらだが、さすがにやり過ぎか。仙台市内の投票所は173カ所。住んでいる地区によっても、ばらつきが大きそうだ。選挙人名簿登録者数を見ると、有権者(ライバル)は6460人。「この中にガチ勢がいるのか」という不安と「できるだけ寝ていたい」という欲求が交錯する。
「切りよく1時間前」を狙う人がいると見越し、「1時間10分前」に定めた。小ずるい印象は否めないが、外聞より勝負に徹した。
31日午前5時半、起床。ささっと身支度を済ませ、自宅から徒歩5分ほどの小学校を目指す。通りの角を曲がり、正門前に視線を向ける。「人影は…ない!」。1番手をゲットし、小さくガッツポーズをした。
後はひたすら待つべし。気温は8度。肌寒いが、真冬でなくて良かったと前向きに捉える。キャンプ用の椅子に座り、河北新報の朝刊を広げ、温かいコーヒーをすする。優雅なひとときを過ごした。
2番手の人が現れたのは午前6時半ごろ。仙台市議の渡辺博さん(71)だった。今回初めて零票確認のため一番乗りを目指したといい、「悔しい」と冗談半分に語った。ちょっぴり申し訳ない気分だ。その後、開始前に10人ほどが列を作った。
午前7時。いよいよ出番だ。零票確認は公選法の施行令第34条で「投票管理者は、選挙人が投票をする前に、投票所内にいる選挙人の面前で投票箱を開き、その中に何も入っていないことを示さなければならない」と規定されている。空虚確認とも呼ばれる。
記入した投票用紙を手に投票箱に向き合う。選管職員がマジシャンのような手つきで、箱をこちらに向ける。上部ではなく、側面ががばっと開いている。
じっくりと中をのぞき込む。何も入っていない。空虚だ。
念のため、腕を入れて回してみる。箱の材質は再利用の古紙で、軽くたたくとコツコツと硬い感触がした。隙間はない。種も仕掛けもない。「確認しました」。重々しい口調で伝えると、選管職員が手早く2カ所に鍵をかけた。
今回の投票は衆院選の小選挙区と比例代表、最高裁裁判官の国民審査に加え、宮城県は知事選が重なっている。一度の早起きで4箱はお得感があると喜んでいたら、思わぬ事態が。知事選と国民審査2箱分の零票確認を、後からきた男性に先を越されてしまった。国民審査の記入に迷った一瞬のすきを突かれた。
「ぐぬぬ」と思ったが、4箱を独占するより他の人にも体験してもらった方がいいか、と思い直した。「投票箱に何も入っていないことの確認書」に住所と氏名を書き込んでお役御免となった。
公正な選挙は民主主義の根幹だ。零票確認は一番乗りの特権ではなく、選挙のいかさまを防ぐ重要な役目だ。その一端を担ったという達成感が湧き上がる。空っぽだった投票箱が、できるだけ多くの票で満たされることを純粋に願った。
投票所を出て、忘れてはいけない最後の仕事に取りかかる。スマートフォンを取り出し、空き箱の写真を添えてツイッターに投稿。
「おはようございます
投票に行ってきました
みなさんも投票に行きましょう
#零票確認ガチ勢」
撮影を禁止している投票所もあるが、今回は他の人が映り込まないよう注意されただけだった。次回以降の選挙で撮影を希望する場合は、事前に選管に確認しておくのがお勧め。
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