<とびらを開く>つながる湾プロジェクト 海の文化 魅力高める

松島湾を囲む6市町
松島湾の地図を見ながら話す大沼さん=10月

 秋晴れの空、輝く海、視界のすぐそこに塩釜市の浦戸諸島が見える。松島湾の魅力の再発見を目指す市民団体「つながる湾プロジェクト」の代表大沼剛宏さんを、宮城県七ケ浜町の花渕港に訪ねました。「海から見ると、自治体の境界線は関係ないんですよね」。東日本大震災の後、大沼さんは海から自分たちの住む陸を見て感じ、それがプロジェクトの発想の原点になったと言います。

 復旧復興に関わり「行政で区切られているけど、無理がある」と自由に越境し、活動しました。その中で松島湾を囲む塩釜、七ケ浜、多賀城、利府、松島、東松島の6市町は海でつながり、円形の文化的エリアを形成しているのではないか。そう考えましたが、今では文化の特色が失われ、同世代の若者は魅力に気付かず町を出て行ってしまう。

 「知る、共感する、発見する仕組みをつくることが必要だ」。この気付きからプロジェクトはあえてメンバーも活動場所も固定せず、活動しています。

 プロジェクトの一つに「ハゼ」があります。宮城の雑煮でだしを取る食材として知られますが、高級品でなかなか手が届きません。だから自分たちで釣り、焼いて干し、だしを取り食べます。「地域を語れる人になるのが大事。今すぐ効果を得ようとはしていない。湾の魅力全体が高まるよう活動しているんです」

 東北芸術工科大でデザイン思想を学び、大好きな故郷・塩釜に不足している仕組みの必要性を感じました。大学院修了後、塩釜に戻りデザイナーとして活動。地元の音楽フェスティバル「GAMA ROCK(ガマ・ロック)」のモニュメントも制作するなど、頼まれたらなんでも引き受けました。商工会議所にも参加し、市の長期総合計画にも関わっています。

 歴史ある町で活動は大変ではないかと問うと「煩わしいものもいっぱいあるけど、面白みをどう発見できるのかが大事」と、さらり返します。

 今月27日、宮城、新潟、福岡3県を結んで開かれる「市民セクター全国会議2021」(日本NPOセンター主催)。仙台会場は「つながりのデザイン」をキーワードに問題提起し、大沼さんも事例報告者の一人として参加します。

 NPOは復興の過程で、新たなコミュニティーづくりや地域活性化などに奮闘しました。一方で担い手不足や当事者性の希薄化など、ジレンマにも直面しています。少子高齢化、社会的孤立など全国的な課題もあります。「全国会議、僕が出てもいいのかな」と大沼さん。新しい世代のしなやかな市民活動は、課題が山積みの現状を切り開くヒントをもたらすような気がしています。(NPO法人エイブル・アート・ジャパン 柴崎由美子)

◎参考情報
つながる湾プロジェクト
ホームページ https://tsunagaruwan.com/
フェイスブック https://www.facebook.com/tsunagaruwan
市民セクター全国会議
ホームページ https://www.jnpoc.ne.jp/ss2021/
フェイスブック https://www.facebook.com/JNPOC/

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