(114)食虫植物冬の日に口開けて/上野 犀行(1972年~)

 いろいろな食虫植物があるが、虫が来るとぱたんと口を閉じて捕食してしまう系統か。蠅取草(はえとりそう)も虫取菫(むしとりすみれ)も歳時記によっては季語として収録されているのだが、この句の場合は何といっても「冬の日」が肝。虫も少なくなって、大漁とはいかない。でも、食虫植物といえども光合成はする。ええい、もうのんびり成り行き任せだ、日なたぼっこだ、とばかりにいっぱいに冬日を浴びている。気味の悪い食虫植物が妙に人間くさく、なんとも憎めない一句となった。句集『イマジン』より。
(浅川芳直)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。


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