選挙への距離感、縮まったかな? Y世代の記者が大学生の本音に迫る

<選挙に行こうZ!!>Z世代と考える低投票率(番外編)

 10月31日投開票の衆院選と宮城県知事選で、河北新報オンラインニュースは大学生の有志が選挙の現場に自ら足を運び、その様子を報告する記事「選挙に行こうZ!! Z世代と考える低投票率」と関連記事を特集した。若者の選挙離れが進んでいると指摘される中、20歳前後のいわゆる「Z世代」は何を感じ取り、どう考えて票を投じたのか。協力してくれたメンバー4人の本音に、一つ上の「Y世代」に当たる記者が迫った。(聞き手は編集局コンテンツセンター・藤沢和久)

「選挙に行こうZ!!」メンバー
蜂谷和輝(はちや・かずき)さん=宮城大4年、21歳=
桂樹生(かつら・みきせ)さん=宮城大3年、22歳=
平林由里香(ひらばやし・ゆりか)さん=仙台青葉学院短大2年、19歳=
尾形愛々子(おがた・りりこ)さん=尚絅学院大1年、18歳=

(左から)蜂谷さん、 桂さん、 平林さん、 尾形さん

偏見解消のきっかけに 現場の負担大きそう

 ―「選挙に行こうZ!!」のメンバーとして、選挙の現場をのぞいた。

 平林さん「『選挙は面倒くさい』という偏見を取り除くきっかけになった。参加した当初は政見放送をはじめ細かい決まりごとが多いことが気になり、関わりにくいという印象を持ってしまった。全ては公平公正に選挙が行われるための取り組みと分かったが、同時に『ここまでやるのか』と驚きもした」

 蜂谷さん「私は河北新報社のアルバイトで、開票所に張り付いて開票中間速報を報告する仕事もやってみた。開票作業を見たのは初めて。午後8時に開票箱を一斉に開けたり、担当者の指示があるまで片付けできないなど、開票作業に従事する職員は負担が大きそうだった。開票状況を30分おきに報告するとオンラインニュースにすぐ反映され、責任を感じた」

 尾形さん「選挙を身近に感じることができた。陣営の事務所では、政治家本人以外に多くのスタッフが選挙に関わっていることを知った。投票すること自体は簡単だったが、選挙制度が事細かに決められていることが多くて、やや時代遅れの感もあった」

 桂さん「学生の立場ではなかなか体験できない選挙の裏側を学びながら、投票率の向上について考えることができたのはいい経験だった。選挙公報の大きさまで厳密に決まっているとは知らず、形式張っているようにも思えた」

 候補者見極め切れず 重い投票所の空気

 ―初めて国政選挙で投票した人もいた。

 平林さん「最初はどんなソースから情報を得たらいいのか分からなかった。そもそも選挙期間が短くて候補者を見極めきれず、悩みながら投票した。全候補の演説を聴けず、情報が偏った。情報を得る時間が十分取れないまま票を投じざるを得ないとしたら、同世代の多くは投票自体を面倒だと感じる」

 尾形さん「期日前投票で誓約書を書かされることに戸惑った。該当する理由が見つからなくても棄権するよりいいはずなのに。期日前投票所がもっと身近に複数あって、有権者がそれぞれの空き時間に足を運ぶようになれば投票率は向上する」

 ―国政選挙の経験があった2人はどうだったか。

 桂さん「衆院選の小選挙区と比例代表、最高裁裁判官国民審査、宮城県知事選の四つの選挙で同時に投票したのは初めて。自分の投票所だった自宅近くの集会所は手狭で、受け付けと記入スペースを置くだけでいっぱい。受け付けに並ぶ有権者がそばの公園まで列をなすほどだった。投票所に同世代の姿は見当たらず、空気が張り詰めていて居づらい雰囲気だった」

 蜂谷さん「小選挙区で自分の一票を投じる意味があるのかと考え込んでしまった。選挙期間中にネットニュースの当落予想記事を見たら『○○氏が勝つ』と書いてあったためだ。当落が予想されたら、日常的に政治に触れる機会の少ない人は『自分の一票では変わらない』と諦めてしまう」

議員と接点増やしたい 若者と互いに歩み寄ろう

 ―選挙制度の改善すべき点や投票率の改善につながる提案を。

 蜂谷さん「議員と有権者の接点をもっと増やす必要がある。支持者ばかりを集めた政治資金パーティーではなく、『オフ会』のような感覚で気軽に話せる場がほしい。高校や大学で議員と意見交換する機会があってもいいのではないか」

 桂さん「SNS(会員制交流サイト)をせっかく開設しているのに、選挙が終わったら更新を止める政治家がいる。普段から継続的に発信してほしい。仕事や活動の話だけでなく、暮らしぶりや物の考え方といった人間的な一面を垣間見ることができれば選挙や政治家が身近になる」

 平林さん「候補者の政策や人となりを、スマートフォンで見やすいようまとめてほしい。県選管のホームページに候補者情報のコンテンツは選挙公報しかなかった。30秒程度と短くてもでも動画があれば、もっと気軽、手軽に見ることができる」

 尾形さん「街頭演説や公約を見る限り、各候補は高齢者や親の世代に支持を訴えていると感じた。これから社会に出る若い世代に向けた話が少しでもあれば関心を持てるし、票を投じやすい。政治家と若者が互いに寄り添い、歩み寄る必要がある」

 [選挙に行こうZ!! Z世代と考える低投票率]Z世代の4人が10月中旬から下旬にかけて、衆院選と宮城県知事選の各陣営によるポスター貼りや街頭演説の現場を見学。期日前投票も体験した。特集記事にメンバーの率直な感想や投票率の改善に向けた提言を盛り込み、全5回の連載として河北新報オンラインニュースと河北新報夕刊に掲載した。Z世代は米国の世代区分で、インターネットが普及した1990年代中盤以降に生まれた若者を指す。

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